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エポキシ樹脂による皮膚症状

2022.03.21

投稿者
クミタス

紫外線硬化アクリル樹脂を使用したレジンアクセサリー制作を素手でおこなっていて、皮膚症状を生じる場合もありますが
アクリル酸エステルによる接触性皮膚炎~アクリル樹脂、レジン
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2806
今回はエポキシ樹脂が原因とみられる症状出現例についてお送りします。

63歳男性。初診5年前から防水工として従事。3年前から、強い痒みを伴う皮疹が出現するようになった。近医で治療するも増悪したため受診。上眼瞼を含む顔面に紅斑・丘疹の集籏、体幹にも紅斑・掻破痕を散在性に多数認めた。血液検査では、好酸球増多、IgE及びTARCの上昇を認め、入院の上、ステロイド軟膏外用及び抗ヒスタミン薬内服にて皮疹は約2週間で略治した。詳細な問診により、エポキシ樹脂の関与が疑われ、アレルゲン同定のためパッチテストを行ったところ、エポキシ樹脂に陽性であり、全身に皮疹の再燃を認め、エポキシ樹脂による接触性皮膚炎症候群と診断された(出典・参照:出典・参照:渡邉美佳 清水聡子 猪熊大輔 土屋喜久夫 市立札幌病院皮膚科 エポキシ樹脂による接触皮膚炎症候群の1例)。

41歳男性。ソーラーパネル製作業務に従事し、ニトリルゴム手袋を使用していた。初診の3か月前から両手に紅斑が出現し、2か月前から全身に拡大した。初診時、顔面、体幹、四肢に紅斑と褐色色素斑が混在し、両手は背側優位に紅斑、鱗屑、苔癬化を認めた。ゴム手袋による接触皮膚炎症候群が疑われたが、ジャパニーズスタンダードアレルゲン(JSA)2008のゴム関連抗原のパッチテストではすべて陰性であった。プレドニゾロン5mg/dayを4週間内服し、職場の配置変更にて皮疹は軽快、以後再発を認めなかった。その後、ビスフェノールA/F型液状エポキシ樹脂の蒸気が出ていた職場環境が判明し、パッチテストを施行したところ、患者持参のエポキシ樹脂サンプル0.1%  pet と JSA の epoxy resin 1% pet に陽性を示し、エポキシ樹脂による職業性全身型接触皮膚炎と診断された(出典・参照:福田浩孝 伏間江貴之 前川武雄 小宮根真弓 村田哲 大槻マミ太郎 自治医科大学皮膚科学教室 エポキシ樹脂による職業性全身型接触皮膚炎の1例)。

エポキシ樹脂が原因となり、接触皮膚炎や皮膚症状を生じることがありますが、全身性強皮症、汎発型限局性強皮症とみられる例なども報告されています。エポキシ樹脂は腐食剤、接着剤、塗料、土木建築材料、排水・透水舗装、スポーツ用品用複合材料、日用品などに幅広く使用されており、職業上などで長年使用していたり、繰り返し接触、蒸気を吸入する機会のある方において、症状出現した場合は原因物質となっている可能性もありますので、ご留意ください。

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