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スギ花粉の免疫療法と花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)

2021.11.11

投稿者
クミタス

トマトはスギ花粉との交差反応性があると考えられており、スギ花粉の免疫療法によりトマトアレルギーの治療、予防となる可能性も考えられますが、スギ花粉舌下免疫療法導入後にトマトの花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)を発症した報告もみられています。

12歳男児。スギ花粉症と気管支喘息、リンゴ、キウイ、アボカドの花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)を発症していたが、トマトは無症状で摂取可能であった。スギ花粉症に対しスギ花粉舌下免疫療法の開始1か月後、ミニトマトを2個摂取した直後に咽頭瘙痒感と呼吸苦を認めた。スギ花粉舌下免疫療法開始前と比べ5か月後のスギ、トマト特異的IgE抗体価は共に上昇を認め、トマトの皮膚プリックテストは陰性から陽性に変化した。スギ花粉舌下免疫療法開始5か月後の食物経口負荷試験では、ミニトマト1個摂取直後に咽頭瘙痒感を認めた。なおトマトの加熱加工品は症状なく摂取可能で、口腔アレルギー症候群(OAS)を主とした花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)を発症したと考えられた(出典・参照:橋本 泰佑, 春日 彩季, 安藤 さくら, 山本 菜穂, 藤川 詩織, 藤谷 宏子, 近藤 康人, 濱崎 考史, スギ花粉舌下免疫療法を導入後,トマト摂取により咽頭瘙痒感と呼吸苦をきたした1例, 日本小児アレルギー学会誌, 2020, 34 巻, 3 号, p. 334-338)。

スギ花粉舌下免疫療法によりトマトに対する感作が増強され、トマトの花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)を発症した可能性が考えられるところですが、スギ花粉抗原皮下注射免疫療法の施行後にトマトアレルゲンに対する末梢血好塩基球活性化試験での数値が下がった報告や、花粉への免疫療法を実施したところ、果物、野菜への症状が改善した例も含めた症例報告もなされています。
症例1:15歳女児,シラカバ・スギ・ブタクサ花粉
症例2:7歳女児,シラカバ・スギ・ブタクサ花粉
症例3:15歳男児,シラカバ・スギ花粉・ハウスダスト
症例4:13歳女児,シラカバ・スギ花粉・ダニ
症例5:12歳男児,シラカバ・スギ花粉・HD
それぞれ急速皮下注射免疫療法(rush SCIT)を実施したところ、症例1は維持量到達直後からOASが改善、症例2~4は維持量到達数ヶ月後から症状の改善を自覚しており実際に食べることができる果物が増えている、症例5は現在実施中。
(出典:OASを伴う季節性アレルギー性鼻炎に対してシラカバ花粉免疫療法を実施した5例の検討 神奈川県立こども医療センターアレルギー科ほか 第25回日本アレルギー学会春季臨床大会 2013年5月にて報告)

また、花粉の免疫療法とPFASへの影響や背景含め掲載していきたいと思います。

トマトによるアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2575

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