Author クミタスさん
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2026.07.23
ホウ酸(Boric Acid)はその殺菌作用から、医薬品(特に眼科領域)や化粧品の防腐剤に含まれ使用されることがあります。また、ホウ酸団子は日本ではゴキブリ駆除剤(誘引食毒剤)としてご家庭で作られていたり、商品化されるようになっています。今回はホウ酸団子を誤食した小児のケースについて掲載します。
傷害発生当日、祖母宅を訪問していたが、午後4時前に母親が帰宅の準備をしている間、約5 分間本児から目を離した。午後4時頃、本児が口をもぐもぐさせていることに祖母が気づいた。母親が口腔内を確認したところ、ゴギブリ対策用のホウ酸団子を確認したため、口腔内容物を搔き出した上で救急要請した。ホウ酸団子は約1か月前に祖母により作成され、設置されていた。正確な組成は不明であった。約5 cm×1 cm×1 mmの薄型長方形、白黄色であり、口の中から搔き出したものは合計4.5 cm×1 cm相当となり、欠損は約0.5 cm×1 cm相当と推定された。高さ約50 cmのテレビ台の上、テレビの後方に置かれており、本児がテレビの下から手を伸ばして掴んだと推測された。祖母宅内には他にもホウ酸団子が複数個配置されていたが、本児が食べた物以外になくなったホウ酸団子はなかった。医療機関搬送時のバイタルサインは心拍数154回/分、呼吸数20回/分、SpO2 100%(室内気)、体温36.9℃、Japan Coma Scale(JCS)は0であった。診察すると、本児に活気はあり、嘔吐や意識レベルの低下、けいれんなどの症状を認めなかった。また、気道・呼吸・循環は保たれていた。嘔吐や下痢、意識障害やけいれん、顔色不良などの症状を認めた際は受診するよう指示し、自宅で経過観察とした。また,事故予防指導を行った。翌日午後の電話での安否確認を行ったが、帰宅後も症状を認めなかったため終診とした(Injury Alert(傷害速報)No. 97 ホウ酸団子の誤食による急性薬物中毒)。
ホウ酸は、消化管、粘膜、皮膚(開放創)から吸収され、12時間以内に50%が排泄されるものの、80%以上が排泄されるには5日以上を要し、特に腎尿細管上皮に対する細胞毒性と中枢神経抑制作用を持ち、致死量は乳児で2~3 g、幼児で5~6 g、成人で15 g以上とされています。
単回摂取で重症化することは稀であるとされていますが、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状や皮疹を起こし、脱水、循環不全、尿細管壊死が死因となりうる、との記述があります。
生後18か月の幼児が市販のホウ酸入りゴキブリ駆除剤(誘引食毒剤)を誤食して死亡した事例も見られており、ホウ酸含有率が高いホウ酸団子を誤食した場合、人体への深刻な影響をもたらす場合がありますので、手に取れる場所に置かないなどの配慮ができるのが望ましいでしょう。
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