ミティキュアⓇダニ舌下錠とシダキュアⓇスギ花粉舌下錠の副反応は、どちらも口腔内の局所反応が中心で、投与初期に発現しやすい傾向があります。口腔内の腫脹や違和感、口内炎、舌のかゆみなどが代表的であり、まれに消化器症状や全身性アレルギー反応がみられます。これらの局所反応は清掃性の低下を招くため、歯周病やインプラント周囲炎の既往がある患者では炎症悪化につながる可能性があります。
患者は2010年に右上小臼歯部にインプラントを埋入したが、2012年に排膿を認め他院でインプラント周囲炎と診断された。2018年当院初診後、2年間のインプラント周囲炎の治療を施行したが奏効せず、2020年に他院で経過観察となった。2022年7月、インプラント周囲組織の出血と排膿のため再受診。2021年6月よりミティキュアⓇダニ舌下錠と、およそ1か月前(2022年6月)に追加されたシダキュアⓇスギ花粉舌下錠を常用していた。2022年8月に外科的にインプラント体表面の肉芽組織および歯石を除去する処置を行ったが、同年11月に疼痛と出血が再発した。2023年1月から6月にかけてインプラントの上部構造の形態の改変を行い、7月以降は炎症所見が消失した。シダキュアⓇスギ花粉舌下錠投与開始1か月後の炎症悪化の原因としては、口腔腫脹によってプラーク蓄積を促進し、症状増悪につながった可能性が示唆され、アレルギー反応との関連性は否定できない。したがって,インプラント周囲炎の既往を有する患者には、投与の可否を含めた処方医の指示に加え、口腔内の歯科治療を考慮した薬学的管理が必要である。さらに、インプラント周囲炎の症例を集積し、舌下免疫療法の口腔内に対する炎症症状発現に関する検討が必要である(出典・参照:太田品子 併用舌下免疫療法の継続後に発症したインプラント周囲炎:症例報告)。
インプラント周囲炎とは、 インプラント周囲の歯肉と骨に起こる慢性炎症性疾患で、進行するとインプラントを支える骨が吸収し、最終的にインプラントが失われる場合があります。上記報告では、舌下免疫療法(SLIT)がインプラント周囲炎の炎症悪化に関与した可能性があり、既往のある患者では歯科的管理を含めた慎重な対応が必要であることを示唆していますが、他の報告なども掲載したいと思います。
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