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ラノリン、ラノリンアルコールによるアレルギー

2019.08.14

投稿者
クミタス

ラノリンは羊毛由来の脂肪様物質で、精製ラノリンは外用剤の基剤などに使用されたり、ラノリンアルコールは基剤、分散剤など、また化粧品、医薬部外品ではその保水性から乳化補助、エモリエント剤としても使用されます。
今までにも還元ラノリン、精製ラノリン、ラノリンアルコールが原因で、刺激による過敏反応、アレルギー反応を示した例の報告はなされており、またラノリンアルコールは、ジャパニーズスタンダードアレルゲン(日本人にとって接触皮膚炎の原因となることが多いアレルゲンで構成)の1つで、特にアトピー性皮膚炎や皮膚炎を有している方での陽性率が比較的高い傾向のある物質でもあります。

精製ラノリンは、羊毛をアルカリ、中性洗剤、石けんなどで洗浄した廃液から油分として回収、または羊毛刈り取り後に原毛を炭化水素系、塩素化炭化水素系の溶剤で洗い、その溶剤を除くなどして回収されたウールグリースを精製するなどして得られ、ラノリン成分以外に一定量の不純物なども残存し得るところでもあります。不純物には、土砂、繊維層、石鹸成分、海面活性剤等、羊毛に含有するタンパク質、色素、リン脂質、樹脂化物、遊離脂肪酸、遊離アルコール、これらの有機物や変性物などが該当し、ラノリン成分、またこれらの不純物などが原因により症状が出現することがあります。

添加物として精製ラノリンを含有するネオメドロール® EE軟膏により両眼周囲の接触皮膚炎を生じた症例の報告もありますが、軟膏、外用剤を使用し痒み、紅斑、かさぶた、膨脹が出現する場合、薬剤の主成分以外に添加物の欄に記載の物質に反応している場合もあります。ヒルドイドクリーム0.3%などラノリンアルコール、ラノリンが使用されている皮膚塗布剤は少なくありませんが、処方後、使用していて改善が見られず、むしろ痒み、紅斑などが新たに出現し続く場合は、継続使用の是非、代替剤などについても相談できるのが望ましいでしょう。

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