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学校給食によるアレルギー事例から~脱脂粉乳の乳タンパク質量

2019.02.08

投稿者
クミタス

2016年6月に横浜市立小学校で給食を喫食後、同じ市域ブロック内で同じ献立である78校のうち13校17名の児童が喉の違和感・かゆみ、発疹等の食物アレルギー様症状を呈する事故が発生し、2名が救急搬送された。原因食品として共通食材のコロッケが疑われ、発症者全員が乳アレルギーを有していたことから、5校分の検食のコロッケ5検体について、ELISA法による乳タンパクの検査を実施したところ、いずれも10ppm以上(Mキットでは650~1,500ppm、Nキットでは1検体が1,200ppm、4検体が20ppm以上)で陽性となった。併せて、コロッケの製造記録から脱脂粉乳の使用が確認され、給食物資の一括調達の中で、食物アレルギー対策として乳由来の原材料は使用しない冷凍コロッケを発注したのに対し、製造業者が誤って市販品と同じ脱脂粉乳入り冷凍コロッケを製造・納入したことが原因とみられる、乳アレルギー発症例が報告されています(出典・参照:No.17010 小学校給食による食物アレルギー発症事例)。

乳アレルギーと向き合う方には知られていることではありますが、脱脂粉乳は、「脱脂」であり脱タンパクではないのですが、乳タンパク質量が低減していると思われている方もいらっしゃることがあります。
実際には、
牛乳のたん白質(g) 3.2~3.5g/100ml
脱脂粉乳(粉末)のたん白質(g) 35~37g/100g(36~38g/103g)
(牛乳100ml=103g)
と、粉末状態の脱脂粉乳との比較では、タンパク質量は牛乳の約10倍ほどになります。

牛乳に含まれる乳タンパク質量、カゼインの量、ホエイの量


乳タンパク質中のカゼイン、ホエイ割合は、およそ4:1になります。牛乳は100ml(103g)あたりでタンパク質が3gほどであり、そのうちカゼインは2.4g、ホエイは0.6gほどになります。

★牛乳の組成(目安)

○水分 87~88%
○乳固形分 12%前後
・脂肪 3~4%前後
・無脂乳固形分 8.5%前後
 ~タンパク質 3.0%前後
  カゼイン 2.4%前後(αs1-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼイン、αs2-カゼイン、γ-カゼイン)
  ホエイ 0.6%前後(β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、プロテオース・ペプトンほか、免疫グロブリン、血清アルブミン)
 ~乳糖 4.5%前後
 ~灰分(ミネラルほか) 0.7%前後

脱脂粉乳(スキムミルク)に含まれる乳タンパク質量、カゼインの量、ホエイの量


粉末状の脱脂粉乳(スキムミルク)は、水分、脂肪が低減しており、脱脂粉乳製品中のタンパク質の割合は牛乳よりも大きくなります。カゼインは熱耐性が高いタンパク質であり、熱加工を経ても抗原性が低減しにくい面がありますが、β-ラクトグロブリンは、加熱により構造が変化し抗原性は低下しやすい面もあります。

★脱脂粉乳の組成(目安)
○水分 3.8%
○乳固形分 96%前後
・脂肪 1%程度
・無脂乳固形分
 ~タンパク質 35%前後 
 ~乳糖 53%前後
 ~灰分(ミネラルほか) 7.9%前後

参照:Properties of Milk and Its Components

脱脂粉乳(スキムミルク)を使用している加工食品


脱脂粉乳を使用している加工食品には以下などがあります。お菓子などを外で受け取って食べる場合なども、念のため注意確認できるとより望ましいでしょう。

脱脂粉乳を使用している加工食品は多岐に渡ります。
・チョコレート
・カレー
・シチュー
・スープ、ポタージュ
・キャンディ
・クッキー、焼菓子、ケーキ
・飲料
(乳入りコーヒー、ミルクココアなど)
・プリン、ヨーグルト
・アイス、氷菓
・レトルト食品
(ココナッツミルクを使用した商品など)
・冷凍食品
(餃子、肉まん、コロッケ、唐揚げなど)
・おかず調味料
・杏仁豆腐
・シリアル
・一部のウインナー
・スプレッド、クリーム
・一部のマーガリン

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