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食物依存性運動誘発アナフィラキシーと抜歯

2023.09.18

投稿者
クミタス

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)においては、原因食物を摂取するだけでは症状が出現しませんが、運動もしくは食後の入浴や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与、全身状態(疲労、睡眠不足、風邪)、気象条件(高温、寒冷、多湿)、ストレス、アルコール、花粉飛散時期、月経前といった要素が症状惹起に関与する要因に挙げられており、腸管上皮の透過性を亢進しアレルゲンの吸収を促進させる可能性があるとみられています。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の症状歴のある方において抜歯をする場合、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の症状が出現するのでしょうか?
 
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)のある29歳の日本人男性。全身麻酔下で抜歯を受けた。治療前または NSAIDs 服用中は小麦を摂取しないよう指示されていたため、アナフィラキシーを起こすことなく、無事に抜歯することができ、抜歯後の経過に問題はなかった(出典・参照:Satoshi Fukuzawa, Kenji Yamagata, Takumi Nishizawa, Fumihiko Uchida, Naomi Ishibashi-Kanno & Hiroki Bukawa  A Case of Tooth Extraction in a Patient with Food-Dependent Exercise Induced Anaphylaxis)。

抜歯時に使用する局所麻酔薬に反応する場合もありますが、症状出現回避対策として別の局所麻酔薬が選択され、症状出現せず抜歯後の経過に問題はなかったケースなどもあります。

27歳男性。右上顎親知らず周囲の違和感を主訴に来院し、右上顎親知らずの部分埋伏および歯冠周囲炎と診断され、抜歯となった。プリックテストの結果、リドカイン製品(1%キシロカイン®)に対する陽性反応が判明したが、プロピトカイン製品(3%シタネスト-オクタプレシン®)に対しては陰性反応が見られた。局所麻酔薬としてプロピトカイン製剤が使用され、精神的ストレスを取り除くために静脈(IV)鎮静下で抜歯。抜歯の開始時に、局所麻酔薬の負荷試験としてプロピトカイン製品 0.2ml が右上顎歯肉に注入され、アレルギー反応がないことが確認された後、局所麻酔が加えられ抜歯。抜歯後は一晩入院して慎重に状態が観察され、術後の経過は順調であった(出典・参照:中村裕介 佐藤淳 和田麻友美 北川善政 真性リドカインアレルギーが疑われた患者の抜歯経験)。

また関連する情報のアップデートをしていきたいと思います。

局所麻酔薬とアレルギー、チャレンジテスト
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3392

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