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加齢と皮脂欠乏症

2026.08.03

投稿者
クミタス

皮脂欠乏症は、皮膚表面を保護する皮脂が減少し、角層の保湿機能が低下することで乾燥やかゆみが生じる状態を指します。皮脂欠乏症の原因は複合的で、加齢、環境要因(乾燥した空気、エアコンの使用、熱いお湯での入浴など)、過度な洗浄、体質・疾患(アトピー性皮膚炎など)などが原因に挙げられています。
 
皮脂欠乏症の典型的な症状は以下のとおりです。
皮膚の乾燥、粉ふき、かゆみ、皮膚のつっぱり感、軽い赤み
掻くことで湿疹化することもあります。
 
加齢による皮脂欠乏症は単なる皮膚の乾燥ではなく、皮膚のバリア機能と保湿機能が低下した結果として生じる病態とみられています。角層は0.02mmという薄い層ですが、皮膚の水分保持と外的刺激からの防御という重要な役割を担っています。この角層の機能が低下すると、皮膚は水分を保持できなくなり、外部刺激に対して脆弱になり、乾燥・掻痒・炎症が連鎖的に進行します。
加齢に伴う皮脂欠乏症では、皮脂膜・天然保湿因子(NMF)・角質細胞間脂質という三つの保湿機構がすべて低下し、皮脂膜は皮膚表面を覆う保護膜として機能し、NMFは角層内部で水分を保持し、角質細胞間脂質は細胞同士を密着させて水分蒸散を防ぎます。これらが加齢によって減少すると、皮膚は乾燥しやすくなるだけでなく、わずかな刺激でも炎症を起こしやすい状態になります。特にフィラグリンの減少はNMFの低下につながり、角層の保湿力を大きく損ないます。
高齢者の乾燥や掻痒においては老人性乾皮症だけでなく、アトピー性皮膚炎が背景にある可能性もあります。加齢による皮脂欠乏症はアトピー性皮膚炎の悪化因子となり得、角層のバリア機能が低下した状態では、外的刺激やアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症が誘発されやすくなるため、乾燥が強い高齢者の皮膚に湿疹がみられる場合、背景にアトピー性皮膚炎が潜んでいる可能性もあります。
さらに、掻痒による掻破は皮脂欠乏性湿疹や貨幣状湿疹へ進展することがあり、放置すると全身性の湿疹へと悪化することもあります。皮脂欠乏症は乾燥してかゆいという軽度の症状から始まっても、適切な介入がなければ炎症性疾患へと進行するリスクがあるため、乾燥の段階で保湿を徹底し、皮膚のバリア機能を補うことが重症化予防の鍵となります。
以下も併せてご覧ください。
皮脂欠乏症について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4321

出典・参照:Visual Dermatology 25巻13号 (2026年7月発行) Part2.皮脂欠乏症の要因update ─外科変化からみた皮脂欠乏症の病態 解説10 加齢による皮脂欠乏症 戸倉新樹 中東遠総合医療センター 皮膚科・皮膚腫瘍科,アレルギー疾患研究センター ほか

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