クラゲに刺され激痛の後、点状、紅状の紅斑とじんま疹様皮疹が出現し、皮下出血、壊死を伴ったり、筋肉痛、発熱、寒気、嘔吐、悪心ショックを起こすことがあります。
症状はクラゲ毒の薬理作用で生じる場合と、アレルギー反応の場合がありますが、今回はクラゲによるアレルギーの例を掲載したいと思います。
■クラゲに刺されてアレルギー症状が出現した例
6歳女児。旅行先の沖縄で海水浴中にハブクラゲに刺され、アナフィラキシーショックをきたし現地病院に搬送され、入院の上、点滴加療を受けた。
全身症状は改善し退院となったが、帰京後も右下肢の疼痛と腫脹が継続し、近医にてプレドニゾロン(PSL)の内服とクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏にて処方されるも改善せず、受傷後5日目に紹介となった。
初診時、右大腿から足背に血痂を付す赤褐色の線状病変が蛇行状にみられ、一部で壊死、緊満性水疱を伴っていた。現病歴と皮疹の性状により、ハブクラゲ刺症と診断し、プレドニゾロン(PSL)内服とクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏を10日間継続し、かさぶたが取れた後に白色壊死に対しスルファジアジン銀を外用した。受傷後40日には上皮化はすべて完了したが、線状の肥厚性瘢痕が残存した(出典・参照:遠藤未希 高橋明日香 藤川一穂 松浦大輔 山崎律子 落合豊子 日本大学医学部附属病院 皮膚科 小児のハブクラゲ刺症の1例)。
■クラゲを摂食してアレルギー症状が出現した例
48歳男性。中華料理店で中華クラゲを食べた2時間後に蕁麻疹と呼吸困難が出現。13年後に居酒屋でクラゲを食べた6時間後に蕁麻疹、呼吸困難、嘔吐が出現し、救急搬送された。中華料理店や居酒屋への聴取では、摂食したクラゲの種類は特定できなかった。
一般的に摂食されているエチゼンクラゲ、ビゼンクラゲ、ミズクラゲなどの数種類の食用クラゲを用いてプリックテストを施行したところ、エチゼンクラゲとビゼンクラゲの みが陽性で、ビゼンクラゲ科(エチゼンクラゲ属、ビゼンクラゲ属)によるアナフィラキシーショックと診断された。本患者さんの趣味はダイビングであり、海に潜る際にクラゲに頻回に刺された既往がある(出典・参照:大森麻美子 小谷晋平 小坂博志 小川真希子 長野徹 清水秀樹 嶋倉邦嘉 神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科 神戸海星病院皮膚科 東京海洋大学海洋科学部食品生産科学科 ビゼンクラゲ科クラゲの経口摂取によるアナフィラキシーショックの1例)。
14歳男児。クラゲ刺傷の既往はなく、これまで半年に1回の頻度でクラゲを摂取していた。市販のタコクラゲ(約100g)を摂取して5分後に嘔気、喘鳴、紅斑が出現し受診。アナフィラキシーと判断され、アドレナリンの筋肉注射、気管支拡張薬の吸入等の処置が行われた。後日施行したタコクラゲの経口負荷試験によって紅斑、喘鳴、嘔気、腹痛が出現し、クラゲによるアナフィラキシーと診断された。クラゲ刺傷の既往はなく、ポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)のプリックテストも陰性で、クラゲ刺傷によりPGAに感作されて発症する納豆による遅発性アナフィラキシーとは異なると考えられた。また数種類の食用クラゲを用いた皮膚プリックテストの結果、クラゲの種類によりアレルゲン性が異なることが示唆された(出典・参照:窪田祥平 野澤麻子 矢内貴憲 小笹浩二 森里美 栗原和幸 神奈川県立こども医療センターアレルギー科 国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院小児科 タコクラゲ摂取によりアナフィラキシーを起こした14歳男児例)。
クラゲに刺され経皮感作が成立した後に、クラゲを摂食し食物アレルギーの症状が出現する場合もあります。
クラゲは、標的を刺す際に触覚細胞内でポリガンマグルタミン酸(poly-gamma-glutamic acid:PGA)を産生しますが、クラゲに刺されてポリガンマグルタミン酸の感作が成立することがあります。このポリガンマグルタミン酸は、納豆の粘り成分でもあり、ポリガンマグルタミン酸がアレルゲンとなった場合は、納豆を摂食し症状が出現することがあります。
またクラゲに刺された自覚のない方で、クラゲを摂食し症状出現する場合もあります。クラゲのアレルゲンとしてはコラーゲンも可能性に挙げられていますが、クラゲの種類でアレルゲンやアレルゲン性に違いがあるかなど、今後もアップデートしていきたいと思います。
クラゲによる反応について
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