1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

アトピー性皮膚炎に合併することがあるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS) 2.20更新

2020.02.01

投稿者
クミタス

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は、咽頭、鼻腔などで増殖した黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥脱毒素 (ET) が血流を介して、全身の皮膚に到達し、広範な表皮の剥脱を起こす疾患で、水疱ができ、角層がはがれ、発熱、悪寒、脱力感といった症状も出現することがあります。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は、主に乳児や小児で見られ、免疫力の低下した高齢者で発生することもあり、発熱とともに口や眼のまわり、鼻の入り口が赤くなり、数日内に水疱、びらん、かさぶたになり、目やにが多くなるとみられています。全身の発赤は、しわのある部位でひどくなりやすく、次第に皮膚が剥がれ、咽頭の痛みや首のリンパ節が腫れることがあります。
治療を開始しないでいると、皮膚が剥がれた部位などから他の細菌や感染性微生物が体内に侵入しやすくなり、感染症を引き起こし、血流を通じて敗血症に至る場合もあり、多量の体液が失われるなど、脱水状態に陥ることがあります。

コントロール不良のアトピー性皮膚炎において合併することがあり、カポジ水痘様発疹症と思われていたが、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群であった例なども見られています(出典・参照:アトピー性皮膚炎に合併したブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)の7歳女児例)。

黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥脱毒素 (ET) は、伝染性膿痂疹(とびひ)の主要原因の1つとなりますが、とびひは皮膚を掻くことが少なくないアトピー性皮膚炎の患児において、かかりやすい面があり、感染すると何回でもとびひにかかることがあり、黄色ブドウ球菌により発症する水疱性膿痂疹が広範になると、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)に移行することがあります。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)においては、脱水とならないための水分補給にも心掛け、とびひの発症予防においては普段から皮膚を清潔にする、傷つけないようにする、爪を短く切っておく、手をよく洗う、うがいなどが挙げられていますが、とびひ、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)においてもアトピー性皮膚炎の患部を掻きむしらないようにできるのが望ましいでしょう。

出典・参照:日本皮膚科学会 とびひ ほか

    {genreName}

      {topics}