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昆虫食とアレルギー

2019.10.06

投稿者
クミタス

虫に刺されたり咬まれたり、虫アレルゲンを吸入、接触することでアレルギー症状が出現することがありますが、摂食してアレルギー症状が出現することがあります。ミックス粉保管中に繁殖したダニも一緒に経口摂取し、アレルギー症状が出現する例は知られていますが、今までに虫体、分泌物・産生物、抽出物、混合物を摂食してアレルギー症状が出現した報告があるものに、以下などがあります(以下一例)。
・モパネワーム(アフリカ原産の蛾の幼虫)
アレルギー疾患の既往なしの11歳女児での国内発症例あり
・蚕のさなぎ
・ダニ(節足動物)
・カイガラムシ科エンジムシの乾燥虫体から抽出して得られる紅色のコチニール色素
(カルミン酸もしくは虫体の残留物質が抗原となっている可能性)
・はちのこ、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜

様々な虫が存在していますが、トロポミオシン、アルギ二ンキナーゼなどがアレルゲンとなることがあります。アルギニンキナーゼはノシメマダラメイガ、ゴキブリ、カイコのアレルゲンの1つと示唆されており、トロポミオシン同様エビなど甲殻類のアレルゲンの1つとみられています。
懸念として、エビやカニといった甲殻類、イカ、タコ、貝類の主要アレルゲンの1つであり、ウニ、ナマコなどの棘皮動物にも含まれるトロポミオシン、またアルギ二ンキナーゼとの交差性がどの程度あるか、というところでもありますが、
昆虫による食物アレルギーの報告例をレビューしたあくまで1レポートではありますが、食用昆虫、甲殻類間の交差反応性および共感作の可能性について調査したところ、合計25件の報告のうち8件は食用昆虫、甲殻類間(イエダニと食用昆虫間の共感作が食物アレルギーを引き起こすかどうかは不明)の交差反応性、共感作性がうかがえる内容であったことを記しています。
また、摂食によるアレルギー発症に至る経緯として、アレルゲンを吸入し感作が成立しており、摂食時にアレルギーを発症することがあります。上記のモパネワーム摂食によるアレルギー例では、それまでにアレルギー疾患の既往のなかった11歳女児において摂食から1時間後の帰宅途中に胸部の違和感、まぶたの浮腫、呼吸苦が出現し持続。アナフィラキシーの診断でアドレナリン0.5mg筋注。検査では蛾特異的IgE抗体価は陽性で、食物経口負荷試験にて40分間隔3分割で合計2.1gのモパネワームを摂食し、120分後にまぶたの浮腫、断続的な咳を認め、モパネワーム摂食によるアレルギーと判定されています。
吸入性アレルゲンに感作し、摂食によりアレルギー症状が出現する場合があり、また甲殻類にアレルギー症状がある方の中で虫を摂食してアレルギー症状が出現する場合がある可能性が考えられるところでもあります。
昆虫食とアレルギーに関して、また甲殻類やダニアレルゲンとの関連性についてもアップデートしていきたいと思います。

出典・参照:昆虫食によるアナフィラキシーの1例
Allergic risks of consuming edible insects: A systematic review.

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