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過硫酸塩によるアレルギー~脱色剤・脱染剤

2019.07.11

投稿者
クミタス

酸化染毛剤(ヘアカラーリング。アルカリカラー)の多くは、髪の毛を膨潤させキューティクルの間を広げる作用などがある1剤と、2剤を混ぜて使用されます。2剤式においては1剤には酸化染料(染料中間体、カップラー)、直接染料、アルカリ剤、クリーム基剤、コンディショニング剤、溶剤など、2剤は主に過酸化水素水(オキシドール)が挙げられます。1剤中のアルカリ剤により2剤の過酸化水素水が分解されて発生した酸素がメラニン色素を脱色し、また酸化重合により染料を発色・定着させています。
染料中間体としてはパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、硫酸トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラトルエンジアミンなどがありますが、パラフェニレンジアミンは、接触皮膚炎やアレルギー反応の原因物質となる場合があり、美容師・理容師さんを対象にしたパッチテストにおいて、パラフェニレンジアミン、パラトルエンジアミン、パラアミノフェノール、オルトアミノフェノールでの陽性率が高かったとの報告もあります。また、パラフェニレンジアミンは様々な他の物質に交差感作を示す可能性も示唆されています。

ブリーチ剤(脱色剤・脱染剤)も多くは1剤と2剤を混ぜ、2剤式においては1剤には過硫酸塩など、2剤は主に過酸化水素水(オキシドール)が使用されます。脱染剤においても過硫酸塩が使用されることが多く、過硫酸塩としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられますが、過硫酸塩によりアレルギー症状が出現する場合があります。

約10年前から美容室でヘアブリーチの施術を受け、3年前から自宅で市販のヘアブリーチ剤や酸化染毛剤を度々使用していた。自宅でヘアブリーチ剤を使用したところ、数分後より全身の掻痒、動悸、呼吸苦などのアナフィラキシー症状が出現し救急搬送された。プリックテストでは過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムの1%水溶液で2+と陽性を示し、過酸化水素水は陰性で、パラフェニレンジアミンが主成分で過硫酸塩を含まないカラー剤は陰性であった(出典・参照:ヘアブリーチ剤に含有された過硫酸塩によるアナフィラキシーの1例)。

過硫酸塩により、接触皮膚炎や、蒸気吸入や接触後に鼻水・呼吸器症状、喘息誘発、アナフィラキシーを引き起こす場合があり、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが含有されている市販の家庭用製品もあります。
溶剤、過酸化水素水、香料、防腐剤、界面活性剤などが原因での反応を示す場合もありますが、ブリーチ剤、脱染剤、また酸化染毛剤使用後に呼吸器症状、皮膚症状などがある場合は、成分情報を記録の上、受診し相談できるのが望ましいでしょう。

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