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ハウスダストに含まれる物質 9.3更新

2018.08.17

投稿者
クミタス

ハウスダストにはさまざまな物質が含まれ、ダニアレルゲン、真菌、細菌などの微生物、ほかに環境にも依りますが鉛などの重金属、多環芳香属炭化水素(Polycyclic aromatic hydrocarbons: PAHs)、フタル酸エステル類、ビスフェノール類などのプラスチック可塑剤や樹脂硬化剤、リン系難燃剤、残留性有機汚染物質(Persistent organic pollutants: POPs)などのダイオキシン類、有機フッ素化合物、臭素系難燃剤などが挙げられます。

フタル酸エステルにはおしゃぶり、歯がため等の乳幼児が口に接触するおもちゃなどで使用規制がなされていますが、ポリ塩化ビニルが材質の壁紙、プラスチック製品、家庭用の噴射式芳香剤、消臭剤から室内に放出され、吸着したハウスダストを取り込むことがあります。室内温度が25℃、36℃、45℃、55℃では温度が上がるにつれ、空気中への放出量が増えるため、夏は室内量が多くなりやすい時期でもあります。
フタル酸エステルとアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2075

床材にもフタル酸エステルは使用されますが、日本にて床材での規制はまだなされておらず、床との距離が近い乳幼児においてのリスク懸念も考えられるところです。
ハウスダストは床以外にも棚や家具の表面にも溜まり、日本では棚のハウスダストからフタル酸エステルの中でフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)が多く検出されたとの調査結果もあります。

体育館、学校の教室、図書館では


日本では、フローリングの床の光沢剤として用いられる、リン酸トリスブトキシエチル TBOEP(tris(2-butoxyethyl) phosphate)なども比較的に多く含まれるとの報告もなされています。
リン酸トリスブトキシエチル(TBOEP)が家庭以外でより多く検出されることがあるのが、体育館や学校の教室で、ワックスがけされた床のワックスや、ゴムの可塑剤等が由来となります。
ほかにリン酸トリブチル(TNBP)、リン酸トリフェニル(TPHP)の検出量が多くなる傾向があり、TNBP、TPHPは不燃性プラスチック 製品中の可塑剤、ポリ塩化ビニルでできた製品、床や壁のカバー等由来と考えられています。
また、使用建材によりますが、東日本大震災時の宮城県内の仮設住宅の室内環境内で、使用木材が発生源でのアセトアルデヒドの検出がやや多く見られた調査もあります。
施設による検出物の特徴として、図書の多い図書館では、印刷のインキ、床材に含まれることのあるフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、接着剤中の2-エチルヘキシルアクリレートがアルカリ性の水分により加水分解されて発生すると考えられる、2-エチル-1-ヘキサノール(2E1H)の大気中からの検出が多い結果も見られています。

保育園では消毒用エタノールを使用する機会が家庭より多く、室内空気中のエタノール量が多く検出されることもあり、また床や壁に可塑剤が使用されていると体に取り込むことにもなります。
化学物質は大気経由で人体に取り込む以外にも、ハウスダスト経由で取り込むことがあり、雑巾がけなど手を介して取り込む場合もあります。リン酸トリスブトキシエチル(TBOEP)は、手洗いによりある程度洗い流すことも可能ですので、床のホコリを触った後は手洗いがおこなえると望ましいでしょう。


出典・参照:未規制有機化合物による小学校の室内 環境汚染 
図書館及び保育園における室内空気中化学物質濃度の実態調査 ほか

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