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果物の甘さ、保存と褐変

2017.12.17

投稿者
クミタス

果物に含まれる糖と保存温度


果実には、フルクトース(果糖)、スクロース(ショ糖)、グルコース(ブドウ糖)等が含まれますが、フルクトース(果糖)が多い果物は冷した方が甘く感じます。

・フルクトース(果糖)が多い果物
梨、りんご、ぶどうなど
α型とβ型があり、低温の場合はβ型多くなります。β型の方が甘みが強く、α型の3倍ほど甘みを感じるため、フルクトースを多く含む果物は冷した方が甘みを感じます。

・スクロース(ショ糖)が多い果物
バナナ、桃、すもも、柿、柑橘類など

・グルコース(ブドウ糖)が多い果物
さくらんぼ、ぶどう、梅など
ブドウ糖はショ糖に比べて甘みが低い(70%ほど)

尚、関税法においては、濃縮果汁全重量中のスクロース含量が多いほど高い関税率がかかるようになっています。

茶色く変化する理由と防止策


食品の褐変には、酵素の作用によっておこる酵素的褐変と非酵素的褐変があり、野菜中のポリフェノール類が、酵素のポリフェノールオキシダーゼにより、フェノール類を酸化させるなどで褐変物質に変化し、茶色くなるのは酵素的褐変になります。
りんごのようにカットしてすぐに褐変が始まる即時型の酵素的褐変、カットレタスのように褐変に日数がかかる遅延型の酵素的褐変があります。
褐変防止のためには、酸化反応を触媒する酸素や金属イオン(鉄、銅など)の除去、混入防止、酸素の除去・供給遮断、酵素が活発に働かない状態の低温保存が挙げられ、家庭でできる具体策としてはカットした断面が酸素と触れないようにすること、低温に保つことが対策となります。

対応策としてご存知の方法もあるかと思いますが、以下等が挙げられます。
・はちみつに漬ける
・塩水に漬ける
食塩の塩化物イオンがポリフェノールオキシダーゼに結合し、作用を阻害するなどが考えられています。
・アスコルビン酸、クエン酸を使用 
レモン水に漬けるなどが挙げられます。ポリフェノール類よりアスコルビン酸、クエン酸が先に酸化され、ポリフェノール類が酸化される過程で生成されるキノンを還元し、褐変を抑制、遅延させます。またレモン水のpHはポリフェノールオキシダーゼの至適pHより酸性に位置するとも見られています。
・水に漬ける
酸素の供給を低減します。
・炭酸水に漬ける
・砂糖水に漬ける
・ポリフェノールオキシダーゼの至適温度帯よりも低温(37℃前後以下)で保存
ほかにも食品添加物としても使用されるL-システインを使用、乳清タンパク質やカゼインでコーティングする方法などもあります。

時間の経過とともに作用が持続しなくなることもあります。微生物の侵入、発育、増殖防止のためにも、早めに調理、摂食できるようにしましょう。

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