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農作物の病害虫被害とアレルゲン性

2025.10.07

投稿者
クミタス

農作物において病害虫による被害がある場合、アレルゲンの発現量に違いはあるのでしょうか?

大豆の栽培時に虫害被害を受けることで、主要な大豆アレルゲンがどのように変化するかという点について、枝豆と乾燥大豆種子を用いて検討したところ、Gly m 5、Gly m 6、トリプシン・インヒビター、Gly m Bd 30K などのアレルゲン(いわゆるクラス 1 食物アレルギーの原因抗原)は、非被害と虫害被害の間で差異はなかったが、花粉症関連大豆アレルゲンである Gly m 4、Gly m 3 の2つは、虫害被害によって増加したとの報告も見られています。
また、カビの被害を受けたサクランボでは、PR-10 に属するサクランボアレルゲンアレルゲン Pru av1 に関しては、カビ被害で著しく発現が増加し、被害のない果実と比べるとデンシトグラフィーの結果では約 6 倍の増加を示した一方、感染特異的タンパク質ファミリーPR5 に属するサクランボアレルゲン Pru av2 に関しては、イムノブロッティングの結果でも ELISA の結果でも差はなく、Profilin である Pru av4 もカビ被害の有無に関わらず有意な増加は見られなかった、と報告しています。
Profilin がカビ被害で増加しなかった点は、大豆での虫害被害時の結果とは異なり、作物の違いや被害の種類の違い、変動するアレルゲンコンポーネントの違いなど、病害虫被害を受けた際のアレルゲンの変動にも多様性が存在する可能性を示唆しています。

出典・参照:衣笠芹菜 泉愛理 福住綾乃 矢野えりか 財満信宏 森山達哉 近畿大学大学院・農学研究科・応用生命化学専攻 近畿大学アグリ技術革新研究所 穀物や果物等の農作物に含まれる食物アレルゲン

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