食物アレルギーを題材にした絵本や紙芝居をご覧になったことのある方、読み聞かせをされている方もいらっしゃるかと思います。
学校で除去食対応をしている食物アレルギー児等においては、今は将来的に食べられる量が増えていくための配慮が必要な時期ではあり、安心して生活を送る上では、例えば給食に除去対象のアレルゲンが含有されることがなく、自身の意識レベルが低下した場合も速やかにエピペン投与など適切な対応が取れるよう周囲の理解、協力が必要にもなります。
食物アレルギーは子供のころに発症しなければその後も発症しないわけではなく、成人になってから発症する場合もあります。食物アレルギーの症状のある児、ない児が同じ空間で食事を摂り、食物アレルギー児の対応食の配膳に関わったり、一緒に運動をしたりする学校生活においては、アレルギーのない児等においても、食物アレルギーがあるとどうなるのか、どういった場合に症状が出現することになるか、知っておくことはお友達との関わりにおいて、またその後の人との関わり、ご自身においても有意義な経験になるかもしれません。
食物アレルギーを題材にした絵本から受ける印象も様々で、少しネガティブな印象を受けるものもありますが、お友達にとっては初めて知るアレルギーの側面である場合もあります。
今回は食物アレルギーを題材にした絵本の中からクミタスでもアレルギーSTORYを掲載頂いているアレっ子ママさんによる感想コメントを掲載します。絵本は年齢やメッセージ、シチュエーションに合わせてセレクトできると望ましいでしょう。
yumeさん
https://www.kumitasu.com/contents/story/2073
michiさんhttps://www.kumitasu.com/contents/story/%E5%89%8D%E5%90%91%E3%81%8D%E3%81%AB%E3%80%81%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%A3%E3%81%93%E8%82%B2%E5%85%90%EF%BC%81/
『ピーナッツアレルギーのさあちゃん よくわかるこどものアレルギー』
~yumeさんのコメント
食物アレルギーがあるさあちゃん。1年生の時は、たまご、牛乳、小麦、そば、大豆が食べられなかったので、給食はいつもお母さんのお弁当でした。病院に通いながら、だんだん食べられるものが増えて、3年生の今は、ほとんどみんなと一緒の給食を食べています。
しかし、ピーナッツだけは今でも食べられません。ピーナッツを食べている人のそばにいるのもダメ。
ある夕食の時間、お母さんが、「さあちゃんが大きくなっても、お母さんがずっと、さあちゃんのそばにいてピーナッツから守るのかなぁ」と言いました。さあちゃんは、布団の中で考えました。
さあちゃんは、自分で必ず材料を確かめるようになりました。ピーナッツアレルギーのことを先生やお友達に自分で説明するようになりました。こうして、さあちゃんは、自分の命を守る方法を学んでいます。
この絵本は、小学生のアレっ子ママ達が、新学期、担任の先生に読み聞かせをお願いする第1位の絵本と言っても、過言ではありません。
漢字には、ふりがなもふってあり、読みやすく、絵を見ただけでも、書かれている内容が想像でき、とてもわかりやすく書かれていると思います。
さあちゃんが、病院に通いながら、だんだん食べられるものが増えたこと。経口免疫療法を頑張っている親子にとってはとても励まされます。
食物アレルギーの子供自身が気をつけなければいけないのはもちろんですが、それだけでは守りきれないのがアナフィラキシーの怖さです。命を守るために、自分はもちろん、周りの人を大切に生きること。後書きも涙なしには読めません。一読してもらいたいです。
『ちかちゃんのきゅうしょく 食物アレルギーのおはなし』
~michiさんのコメント
乳製品アレルギーをもつ「ちかちゃん」とお友だちに、かわいい妖精リリーが食物アレルギーのことをわかりやすく教えてくれるというストーリー。すべての漢字にふりがながついており、小学校低学年から楽しめます。
このお話は、子ども向けでありながらも「免疫」のしくみを詳しく説明している点がすばらしいと思います。食物アレルギーが好き嫌いではなく病気であるということはもちろん、食べて症状が出るメカニズムまでを丁寧に伝えていて、大人が読んでも「なるほど」と思う内容です。また、かわいらしく擬人化されたキャラクターを用いて生き生きと描いているため、専門的な内容であっても子どもたちには親しみやすく、印象に残りやすいようです。
さらに私が大好きなところは、ちかちゃんの「心の中のもやもや」にも寄りそい、自分のからだを大切にすることや、アレルギーをもっていても前向きに暮らしていくことの大切さを伝えている点です。アレルギーをもつ子どもたちにも、周囲の子どもたちにも、ぜひおすすめしたい一冊です。
『ふしぎの山のしんりょうしょ』
~yumeさんのコメント
つーちゃんは、体育の時に、「アトピーがうつる」と手をつなぐのを嫌がられました。また、給食の時は「なんで、お弁当なの?牛乳1人だけ飲まなくてズルイ」、と言われました。
「アレルギーだから」、と言ったのに。
つーちゃんは、悲しくなりました。
しんちゃんもつーちゃんも、食べられない物があって、嫌だと思っています。みんなが、お店で食べたり、自分でお菓子を買うのが羨ましく思います。
そんな話をしながら歩いていた2人は、強い風で空高くまきあげられてしまい、わくわく・ユーワクランドに着きました。そこで、飲み物を飲んだところ、しんちゃんは、口の中が、ヒリヒリし始め、つーちゃんは、咳も出始めました。救急車で山の上のしんりょうしょに、妖精が連れていってくれました。そこには、アレルギーの絵が貼ってあり、先生はアレルギーの話などをしてくれたのです。
絵がかわいく描かれていて、色彩もきれいな絵本で、とても読みやすいです。
各ページの下に、問いかけなどが書かれており、一緒に考えながら、読むことができます。
ぜひ、親子で一緒に、読んでほしい一冊です。
『むっちゃんのしょくどうしゃ』
~yumeさんのコメント
卵と牛乳のアレルギーがある、むっちゃん。
おばあちゃんのお家から、1人で帰る電車の中での物語です。
むっちゃんは、となりのおばちゃんからもらったアイスのことを思い出していました。いとこ達が大喜びする中、むっちゃんは、困ってしまいます。なぜなら、むっちゃんは、卵と牛乳のアレルギーがあり、アイスが食べれないからです。
「みんな、なんでも食べれると思っているんだ。」
悔しい気持ちで、いっぱいになった時、食堂車で、動物たちが自分にあった物を食べているのを見て、僕には、僕の体にあった食べ物があり、食べられない物があっても、おかしなことではないことに、気づいたのです。
アレっ子にとって、親切心での出来事も、時には、辛い思い出になってしまいます。誰でも、一度は経験し、親子で悩んだこともあるでしょう。
そんな時に、ぜひ、この本を読んで見てください。
『食物アレルギーのひみつ』(学研 まんがでよくわかるシリーズ)
~michiさんのコメント
同じクラスに転校してきた未来(みく)ちゃんは食物アレルギー。主人公の公太くんは、未来ちゃんや未来ちゃんのお父さん(アレルギー専門医)たちと関わるなかで、アレルギーについてさまざまなことを学んでいきます。
この本は小学生向けの学習まんがで、第一線で活躍されているアレルギー専門医5人と、学校現場で子どもたちを支える教職員の方々の監修で制作されたものです。食物アレルギーのメカニズムだけではなく、学校給食や外食でのアレルギー対応や適切な検査・診断についてなどの具体的で正確な情報を網羅し、まんがでわかりやすく伝えています。
私が特にすばらしいと思ったのは、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」について身近な事例を示しながら紹介している点です。このアレルギーは一般的な認知度はまだ高くないものの、小学校高学年から中学生にかけての発症が増加しているといわれています。自分やお友だちが発症してしまったとき、この知識は大きな助けとなるのではないでしょうか。
このシリーズは一般販売は行っておらず、全国の小学校および公立図書館に寄贈されています。みんなで食を楽しめる「食の未来」への思いが、子どもたちの心に広がっていくことを願っています。
https://www.miraizaidan.or.jp/public/detail01.html
michiさん著作の『あかねちゃんと雲のスイーツ - お友だちはアレルギー?』がamazonオンデマンドで販売中とのこと。ご興味のある方はこちらもご覧ください。
~michiさんによる解説
食べもののアレルギーをもつあかねちゃんと、お友だちの康太くんとのふれあいを描いたショートストーリー。小学校中学年から大人までお読みいただけます。
公園でのあかねちゃんのちょっと不思議な行動に、康太くんは食べられない病気というものがあることを知ります。康太くんが戸惑ったり考えたりしていく姿を通して、「食物アレルギーについて知ってほしいこと」をやわらかく伝える構成になっています。また、食べられないものから子どもを守り続けることや、周囲との関係づくりに伴う負担感。「食べる」ことに制限のあるわが子への思いなど日々、アレルギー児の子育てに奮闘しているお母さんたちへのメッセージも込められています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4865439994?tag=myisbn-22
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