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ヒポグリシンAによる影響

2015.10.27

投稿者
クミタス

ムクロジ科の果実についてはこちらでもご紹介しましたが、ムクロジ科のライチ、ランブータン、リュウガン、アキー、またシカモア等の未成熟な果肉や種子には、ヒポグリシンAが含まれ、ヒトや動物への影響が最近分かってきています。



 


●ジャマイカ嘔吐病
アキーはジャマイカでは一般的な食材で、野菜のように調理される機会が多いのですが(卵の黄味に近い)、未熟なアキーの果実を摂取することで、2~10歳児を中心に、数時間から数日の間に頭痛、口渇、発汗、嘔吐(嘔吐症状はない場合もあります)、嗜眠などを引き起こし、特にグリコーゲン/グルコースの体内蓄積量が少ない栄養不良児では、多量に摂取すると、中毒性低血糖症候群に(米国疾病管理予防センター(CDC)によると、ほぼ確実に)陥るとされています。
重篤なケースでは、脱水症状、てんかん、昏睡などで2001年ではジャマイカで23人が亡くなっており、アメリカではアキーの生の果実の輸入は全面的に禁止されています。

●インドにおける低血糖症
インド北東部のビハール州ムザッファルプル県では1995年ごろから6月をピークに、低血糖症児で死亡するケースが見られていました。
・2013年には1~5歳を中心に子ども133人が脳卒中や神経症状と診断され、うち44%が死亡。入院時点で70mg/dL未満の低血糖症と診断されるケースが他の患者さんに比べて2倍以上高かった。
・2014年5月末~7月中旬の間で、前年の症例定義に当てはまる疾患と診断された小児患者が390人、このうち31%が死亡した。

ムザッファルプルではライチの栽培が盛んであり、米国疾病管理予防センター(CDC)では、月刊誌「Emerging Infectious Disease」2015年5月号に、「ライチ果実が関与したウイルス脳炎が疑われる事案のほぼ確実な毒性原因(Probable Toxic Cause for Suspected
Lychee-Linked Viral Encephalitis )」にて、ウイルス脳炎ではなく、アキー同様にムクロジ科のライチ、ランブータン、リュウガン等の未成熟の果肉に含有される植物性自然毒の摂取が原因であり、神経毒性 L-アミノ酸ヒポグリシンの同族体であるα‐(メチレンシクロプロピル)グリシンにより生じたものであろう、としており、中毒性低血糖症候群に陥るためグルコースの静脈投与などが必要になるとしています。

日本国内でスーパー店頭で販売されているムクロジ科果物で未熟なものを目にする機会は少ないかと思いますが、病気療養中や過激なダイエット中など栄養不良中においては、熟していないものの積極摂取は控えるのが良いでしょう。

●シカモア種子による馬への影響
2015年7月に、英国獣医師会(BVA)と英国馬類獣医協会(BEVA)は、シカモア種子を食べて致死的筋肉疾患になった馬の事例とともに、馬がシカモア種子を食べないような対策を取るように馬の所有者に警告しています。

シカモアはムクロジ科の木であり、シカモア種子は強風や洪水によって拡散され牧草地や飼料に紛れ込むなどによっても、馬が摂取してしまうことがあります。イギリスでは2014年の強風の影響で馬の病気が4倍に増えたとの意見もあり、
2.5歳の牝馬で、シカモア種子の摂取後36時間以内に非定型筋障害があり、急性横紋筋融解症の外観を有し、クレアチンキナーゼ値が高値を示したとの報告もみられています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/evj.12460/abstract
今まで致命的な筋肉障害を引き起こし、残念ながら死亡した馬の中には、ヒポグリシンAが起因している場合もあるのかもしれません。

シカモア以外に、ムクロジ科の木にはトチノキ、ホースチェスナッツ、シュガー・シルバー・ソフト・ハード・レッドメープル、カエデ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ、オオモミジなども該当します(分類によっては異なります)。
これらの種子も原因物質になる可能性もありますので、国内育成・成育環境においてもぜひ留意したいところです。

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