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クレヨンを誤食しても大丈夫?

2015.09.18

投稿者
クミタス

1999~2008年での統計になりますが、5歳以下の誤飲・誤食による中毒事故の問い合わせが多い家庭用品の中で、クレヨン、パステルは問合せ件数14位で全体の1.5%を占めています。そして医療機関での診療が必要な事例や実際に受診した事例の割合は、クレヨン、パステルでは5.2%と化粧水を誤食した場合の16.6%、石けんを誤食した場合の8.1%と比較しても低く、クレヨンは比較的安全なものと認識されていたことが伺えます。

著作:消費者庁「「家庭用品等による中毒事故を防ぐために」の指導者用解説書」
1999~2008年 日本中毒情報センター調べ
https://www.caa.go.jp/safety/pdf/120511kouhyou_2.pdf

クレヨンに含まれる可能性のある有害物質


クレヨンは着色剤となる顔料、ワックス、オイル、体質顔料を主原料として作られており、主原料自体の安全性に特別懸念があるわけでないものもありますが、輸入品なども含め以下有害成分が含まれるものもあります。

・ポリ塩化ビフェニル(PCB)
PCB自体は以前から有害性が指摘される物質ですが、意図的でなくても生成される場合、混入の場合があり、最近になって有機顔料の中に意図せずに副生されたPCBが含まれることが判明し、2012年から日本でも有機顔料中に副生するPCBに関する調査、対処が取られています。

・重金属・軽金属
鉛、カドミウム、クロム、ヒ素など。

・芳香族アミン化合物
アゾ染料などある特定の顔料や、汚染された原料の中に存在する可能性があり、発がん性が指摘されています。

・殺虫剤
ミツロウワックスを使用している場合、殺虫剤が残留している可能性もあります。

・多環式芳香族炭化水素(PAH)
ロウ類の生産中に発生する可能性があり、発がん性、遺伝子変異性、内分泌撹乱作用を有するものもあると言われています。

有機顔料中に含まれることがあるポリ塩化ビフェニル(PCB)


ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、ダイオキシン類、DDTと並び、環境中に排出されると人体に有害な影響を及ぼしかねない残留性有機汚染物質POPs(ポップス)とされており、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」においてもPCBは製造と使用の禁止、廃絶対象となっています。
PCBは体内に取り込まれやすいうえに体内残留性が高く、皮膚障害など慢性毒性が認められています。

PCBはクレヨンに含まれる有機顔料中に副生として存在することがあり、PCBが50mg/kg超含まれる有機顔料は、製造中止、輸入中止となり、回収等の行政指導が実施されています。
中でも、黄色(ピグメントイエロー)、そして赤色の顔料に比較的多くPCB(主にジクロロビフェニル)が高濃度含まれるものがあり、回収対象となるものが見られます。

クレヨンをどの程度誤食すると有害なのか?


最もPCBs濃度の高かったクレヨン(黄色)を代表例として、乳幼児の経皮(手で握ることで皮膚から取り込む)暴露量、経口(舐めたり口に入れたりすること)暴露量、誤食による曝露量を推定したところ、PCBsを含むクレヨンを毎月2cmの分量を誤食するレベルにおいては、PCBsにおけるWHOの耐容一日摂取量(0.02μg/kg 体重/day)を上回る曝露となったとのリスク評価がなされています(有機顔料中に副生するPCBに関するリスク評価検討会 )。
耐容一日摂取量とは:ヒトがその物質を生涯にわたって継続的に摂取した際に、健康に悪影響を及ぼすおそれがないと推定される1日当たりの摂取量。

上記リスク評価は一つの暫定値で誤飲した場合の評価も含め、これから成されていく部分もあります。
高濃度にPCBを含むクレヨンを流通させない対策が進められており、商品によっても品質差はありますので、一様に過度に心配する必要はないものの、PCBが50mg/kg未満含まれる有機顔料を使用したクレヨンは流通していること、表示上PCBなど有害物質がどの程度含まれるかは明示されていない部分もありますので、クレヨンは子供が食べても安全、と日常的に誤食など結果的に経口摂取している場合は、留意しておきたい点です。

参考資料:
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(和文)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/t_020408.pdf

有機顔料中に副生する PCB の工業技術的・経済的に低減可能なレベルに関する報告書
https://www.env.go.jp/press/files/jp/26802.pdf

副生PCBを含有する有機顔料を使用した製品の健康リスク評価の結果について
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/safety_security/yuuki_pcb/pdf/003_02_03.pdf

副生するPCB含有量が50ppmを超えることが判明した有機顔料について(平成25年3月25日現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002yktn-att/2r9852000002yl0f_1.pdf

有機顔料中の副生PCBへの対応について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002yktn-att/2r9852000002ykxz_1.pdf


クレヨンから微量にアスベストが検出されたとの報告(オーストラリア、ニュージーランド)も(2015.9)。
以下資料内に該当商品の画像も確認できます。
https://asbestossafety.gov.au/sites/asbestossafety.gov.au/files/Consumer_and_Retailer_Alert-Asbestos_in_Crayons-Sept2015.pdf
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/09/18/testing-reveals-asbestos-in-crayons/

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