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染毛剤による色素沈着型光アレルギー性接触皮膚炎のケース

2025.07.13

投稿者
クミタス

色素沈着型接触皮膚炎は、接触皮膚炎特有の炎症症状を伴わず色素沈着を主体とし、香料、保存料、染毛剤、口紅などが原因物質として報告されています。光アレルギー性接触皮膚炎は、化学物質塗布後に紫外線照射を受けることにより発症する接触皮膚炎で、化学物質が紫外線を吸収することで皮膚感作性を有する物質に変化します。
染毛剤による症状出現に関しては以下でも掲載しておりますが
染毛剤成分の酸化生成物が原因と考えられる症状出現例
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4607 
蒸気吸入よる症状出現~染毛剤含有物質
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3065 
今回は染毛剤ヘナによる色素沈着型光アレルギー性接触皮膚炎のケースについて掲載します。
 
50歳代後半女性。11年前に染毛剤ヘナを使用時に色素沈着を認め、その際にハイドロキノン外用で改善。2ヵ月前、同製品の染毛剤ヘナを、前腕にてセルフパッチテストで陰性を確認して使用した。4日後に前額部・頰部などに瘙痒を伴う紅斑が出現し、色素沈着を呈するようになった。近医皮膚科を受診し、フェキソフェナジン内服とプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル軟膏外用加療を行うも、瘙痒や紅斑は改善したが色素沈着が増悪し、精査加療目的で当院に紹介受診となった。
顔面から頸部にかけて、びまん性の色素沈着を認め、頭皮・頭部には色素沈着はみられなかった。
初診時に考えられた疾患:染毛剤ヘナによる光アレルギー性接触皮膚炎、色素沈着型薬疹、光線過敏型薬疹、空気伝搬性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎
染毛剤による色素沈着型光アレルギー性接触皮膚炎を疑い、ヘナ染毛剤 (使用濃度)、パラフェニレンジアミンのパッチテスト・光パッチテストを施行。Finn Chamber r® (Smart Practice 社)と濾紙を用いて被験物質と陰性コントロール (白色ワセリン、生食)、佐藤のパッチテストパネルを背部に48時間貼布し、パッチテスト判定基準国際接触皮膚炎研究班(International Contact Dermatitis Research
Group:ICDRG) 基準に従って48時間後、72時間後、1週間後に判定を行った。72時間後、1週間後判定で、光パッチテストでヘナ染毛剤が陽性疑いの所見であり、パラフェニレンジアミンおよび陰性コントロールはすべて陰性であった。この結果より、さらに販売会社による成分試薬の提供を受けて、ヘナ、インディゴ、アムラ(それぞれ30% aqua) の成分別の光パッチテストを施行した。72時間後、1週間後判定で、ヘナ・インディゴが陽性疑いであり、1ヵ月後の判定では、インディゴに色素沈着を認めた(出典・参照:田尻真貴子 石井文人 阿部俊文 名嘉眞武國 染毛剤ヘナによる色素沈着型光アレルギー性接触皮膚炎)。
上記報告内では、インディゴによる色素沈着型接触皮膚炎の報告例は少ないものの、発症した場合は改善までに長期間を要することが多いとの示唆も見られています。また染毛剤と症状出現について掲載したいと思います。

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