1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

食中毒の症状が出現する方において

2023.01.22

投稿者
クミタス

同じ食事の場にいて食中毒の症状が出現する方と出現しない方がいらっしゃることがあります。食中毒の症状が出現した方においては、以下が影響している可能性が考えられます。
 
●原因物質、汚染食物の摂取量が多かった
食中毒は一定量の原因菌やウイルスを摂取すると発症しますが、食事中に汚染した料理、食物を多く食べていた、原因物質が体内に多く入ってしまった方は、発症リスクがより高くなります。ただ、中には少量でも発症する菌、ウイルスも存在します。
 ・ある程度の量摂取で発症(一例)
腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、セレウス菌(下痢型)など
 ・少量でも発症(一例)
カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、ノロウイルス、ボツリヌス菌など
 
また、汚染した料理や食物を持ち帰って食べたり、時間を空けて食べる場合、菌が増殖していることがあります。 

●胃酸の分泌量が少ない
強い酸抵抗性を示し、胃酸の中でも生残する腸管出血性大腸菌などもありますが、酸に弱い腸炎ビブリオなどにおいては、胃酸が抑制する役割となることもあります。一方、胃酸を中和する作用のある制酸剤、胃酸の分泌を抑える作用のある胃薬(プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカー)などを服用中の方は胃酸量が少ない状態になっていたり、また、一度に大量の水を飲んだ後は胃酸が希釈された状態になることがあります。
 ・酸に弱い(一例)
腸炎ビブリオ
 ・酸に強い(一例)
腸管出血性大腸菌
ノロウイルス:ヒトの胃液とほぼ同程度のpH3の環境に 3 時間おいても感染力は低下せず、胃を通過するとの示唆もあります。
 
●腸内環境
腸内細菌叢は粘膜免疫システムに大きな影響を与えますが、下痢止め薬や吐き気止め薬を服用することで、体内で増殖した細菌やウイルスが排出されず症状が長期化することがあります。特に生体内毒素型の細菌に感染した場合には、腸内で菌が留まることで毒素を産生し重症化する恐れもあります。
細菌性食中毒
感染型:サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど
食物内毒素型:黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など
生体内毒素型:腸管出血性大腸菌、ウェルシュ菌、セレウス菌(下痢型)など
ウイルス性食中毒:ノロウイルス、その他ウイルス
 
●属性、その他
消化器などの手術後、高齢などで消化器官の機能が低下している方や低年齢で消化機能が未発達の方、肝臓疾患、免疫力の低下などを基礎疾患として持つ方、貧血の治療で鉄剤を内服している方などは、より食中毒リスクがあるとみられています。
他に、ノロウイルスの遺伝子型によっては、ヒトの血液型によって感染しやすい場合があるとの報告があり、ノーウォーク類似株ではO型、A型の人は感染するが、B型の人は感染しない、スノーマウンテン類似株ではB型、A型の人は感染するがO型の人は感染しないとの示唆もあります。

粘膜免疫、全身免疫についても含め、今後も可能性のある要因、背景を追記していきたいと思います。

ビブリオ・バルニフィカスに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060531-1.html

    {genreName}

      {topics}