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免疫療法と好酸球性食道炎

2021.04.18

投稿者
クミタス

好酸球性食道炎(EoE)においては、好酸球が消化管(食道、胃、腸)の粘膜に浸潤し、慢性炎症を起こして、食道狭窄、そして哺乳障害、嚥下障害(食道に詰まる、飲み込みにくい)、胸やけといった症状を生じることがあります。

標準化スギ花粉エキスによる舌下免疫療法を受け、舌下後に薬液を飲み込んでいた41歳女性において、下部食道に白斑が見られるようになり、生検組織にて高倍率1視野あたり最大78個の好酸球浸潤があり好酸球性食道炎(EoE)と診断された例も見られています。
舌下後に薬液を吐き出すようにしたところ、治療継続3カ月後の内視鏡検査では,下部食道の白斑は消失し,生検所見でも改善が認められた。舌下療法を継続しているにもかかわらず、1年6カ月後の検査では、内視鏡所見、組織所見とも好酸球性食道炎(EoE)の所見は認められず、スギ花粉症の症状も軽快傾向となっています(出典・参照:野津 巧, 足立 経一, 石村 典久, 岸 加奈子, 三代 知子, 曽田 一也, 沖本 英子, 川島 耕作, 石原 俊治, 木下 芳一, スギ花粉症に対する舌下免疫療法開始後に発症し,服薬法変更により改善した好酸球性食道炎の1例, 日本消化器内視鏡学会雑誌, 2021, 63 巻, 2 号, p. 183-187)

経口免疫療法を実施により腹痛、下痢、嘔吐症状が出現し、好酸球性胃腸炎の発症が発覚することもありますが、上記のようにスギ花粉症舌下免疫療法のために開発された標準化スギ花粉エキスの薬液を飲み込んでいた方において、薬液を飲まずにいることで発症した好酸球性胃腸炎は改善しスギ花粉症の症状も軽快傾向との報告も見られています。免疫療法下での発症可能性も視野に、異変がある場合は早めに相談できるのが望ましいでしょう。

好酸球性胃腸炎~経口免疫療法施行により判明したケース
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3787

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