1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

まな板の材質と卵の残留程度

2020.09.08

投稿者
クミタス

木製のまな板においては、水分の浸透が多く、食品成分が残留しやすい印象を持たれる方も少なくないかと思いますが、他の材質のまな板と比較して、タンパク質の残留程度はどの程度なのでしょうか?

まな板A:プラストマー素材(ポリエチレン)の抗菌まな板(大きさ220mm×370mm×10mm)。まな板表面に水玉模様のシボ加工(直径1.0mm、1cm2あたり10×9個の円)あり。

まな板B:エラストマー素材(ポリプロピレン)のまな板(大きさ210mm×325mm×2mm)。まな板表面にシボ加工はなく弾性がある。

まな板C:天然木素材(スプルス材)のまな板(大きさ210mm×360mm×14mm)
スプルス材は、障子や戸、ドアにもよく使用される木材になります。

の3種の材質のまな板において、

3%(w/v)卵白:乾燥卵白(キューピー株式会社製)を滅菌水で撹拌させながら溶解し、1回の実験につき10mLをまな板の検査部分に塗布し、ただちにまな板を水道水で5秒間すすぎ、ステンレス製角かご内に1分間立てかけて静置し、ふき取り用の綿棒または脱脂綿で検査部分をふき取ったところ、

まな板A、まな板Bからは検出されなかったが、天然木素材(スプルス材)のまな板Cからは0.7mg/100cm2検出された。
また、
卵液:乾熱滅菌したボール、金ザル、菜箸を用意し、鶏卵(全卵)をボールに割り入れ,菜箸でほぐした後、金ザルで濾し、1回の実験につき10mL=9.87gをまな板の検査部分に塗布。ただちにまな板を水道水で5秒間すすぎ、ステンレス製角かご内に1分間立てかけて静置し、ふき取り用の綿棒または脱脂綿で検査部分をふき取ったところ、

まな板Aからは0.4mg/100cm2、まな板Bからは7.8mg/100cm2、まな板Cからは16.7mg/100cm2検出され、天然木素材(スプルス材)のまな板Cからの検出が最も多かった。

また、洗い方の条件を変え
3%(w/v)卵白:乾燥卵白(キユーピー社製)を滅菌水で撹拌させながら溶解し、1回の実験につき10mLをまな板の検査部分に塗布し、食品成分を塗布したまな板を水道水で5秒間すすいだ後、ただちに実験直前に水道水で濡らし、軽く水気を切ったスポンジで検査部分を5秒間こすり、さらにまな板を水道水で5秒間すすぎ、ステンレス製角かご内に1分間立てかけて静置してふき取り用の綿棒または脱脂綿で検査部分をふき取ったところ、

まな板A、まな板B、まな板Cとも検出されなかったが

卵液:乾熱滅菌したボール、金ザル、菜箸を用意し、鶏卵(全卵)をボールに割り入れ、菜箸でほぐした後、金ザルで濾し、1回の実験につき10mL=9.87gをまな板の検査部分に塗布。食品成分を塗布したまな板を水道水で5秒間すすいだ後、ただちに実験直前に水道水で濡らし、軽く水気を切ったスポンジで検査部分を5秒間こすり、さらにまな板を水道水で5秒間すすぎ、ステンレス製角かご内に1分間立てかけて静置してふき取り用の綿棒または脱脂綿で検査部分をふき取ったところ、

まな板A、Bからは検出されなかったが、まな板Cからは0.6mg/100cm2検出されており、
まな板Cでは洗剤を使用しないすすぎ洗いでの検出はなかったものの、洗剤を使用しないこすり洗い後に卵液成分が残留している結果も見られています。

調理器具表面にできた傷(凹凸)に付着したデンプンやタンパク質、脂肪などは、こすり洗いの過程で表面の傷(凹凸)部分にすりこんでしまう場合もあります。
汚れがしっかり取り切れないうちに熱湯をかけると、タンパク質が熱変性をし器具等に凝固し取れにくくなることがありますが、調理器具に付着したデンプンやタンパク質は40℃~50℃の温湯に15~20分間浸漬すると、落としやすくなる傾向もあります。加え、傷が多くなったまな板においては、クッキングシートなどを敷いて使用するなどの方法も検討できると良いかもしれません。


出典・参照:千葉大学・教育学部 米田千恵、伊丹市立鈴原小学校 山本愛 洗浄方法の違いによるまな板の衛生状態の評価

タンパク質が残留する食器の洗浄において
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2661

ボウルの材質の違いと食物の残留
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3613

    {genreName}

      {topics}