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タンパク質が残留する食器の洗浄において

2018.04.08

投稿者
クミタス

タンパク質が残留する食器、調理器の洗浄においては、熱湯など60℃以上の湯では洗わず、アルカリ洗剤を使用し、すすぎを十分におこなうのが望ましいとされます。タンパク質が変性する温度で洗浄すると、食器、調理器の傷や溝、つなぎ部分などに、タンパク質が凝固してしまう場合があり、一般的な給湯温度位~の40℃~50℃ほどで洗浄するのが望ましい温度になり、不溶性タンパク質は水に溶けにくいため、溶解して洗浄するうえで、アルカリ洗剤が選択肢となります。

給食対応の保育施設での予備洗浄状況と自動食器洗浄後の乳アレルゲンの残存検査では、
・洗浄は丁寧にして、混合洗浄している保育園
・ぬるま湯でさっと洗い洗浄機に入れている保育園
では乳アレルゲンの残存が見られ、
・手と目で確認しながらスポンジで洗い、下膳も別、専用食器は最後に洗う保育園
・裏や溝をしっかり洗い、専用食器は別に置く(洗浄機なし)保育園
・角の汚れに注意して洗浄した保育園
では残存アレルゲンは陰性であったとの結果も見られています。
自動食器洗浄機での洗浄においても、共有食器でなく専用食器を利用したうえで、予備洗浄含め専用食器を別に洗浄し、食器洗浄機内に残留しないよう洗浄をおこなうことで、食器の残留可能性は低くなりますが、効果的な洗浄方法についてお送りします。

洗剤の種類、浸漬、洗い方

中性洗剤は、高起泡性で界面活性剤による油脂の洗浄には効果がありますが、中性洗剤(0.066%界面活性剤濃度)に10分浸漬後、お湯の流水中でスポンジを用いて軽く洗浄した場合では、乳アレルゲン、小麦アレルゲンとも残存が認められたコップの方が多いとの結果も見られており、タンパク質の洗浄においては中性洗剤よりもアルカリ性洗剤の方が適している面があります。

0.2%自動食器洗浄機専用洗剤をスポンジに付け10秒手洗いし自動食器洗浄機で洗浄、よりも、0.2%自動食器洗浄機専用洗剤を使用し40℃で20分浸漬、スポンジで10秒手洗いし自動食器洗浄機で洗浄、の方が、アレルゲンの残留するコップが少なく、浸漬によるタンパク質の溶解、分散が伺えるところでもあります。

台所用石けん液(液状弱アルカリ、28%脂肪酸カリウム)での洗浄効果については、40℃の石けん液(水3Lに15mlの石けん原液、pH8.4 ~ 8.6)に、乳アレルゲンについては60℃に加温した牛乳をコップに入れて20分放置し、内容物を捨て軽く水洗いしたコップと、牛乳を入れないコップを同一桶に浸漬し、小麦アレルゲンについてはうどん(100gに400mlの水を加え10分沸騰)、卵アレルゲンは、炒り卵(空炒りの状態)をコップに入れて20分放置し、同様にそれぞれ入れていないコップも同一桶に浸漬し比較したところ、牛乳を入れていなかったコップにおいてもアレルゲンが付着したコップも見られた。アレルゲンを入れていたコップでは、
浸漬5分後にスポンジで軽く2回まわして水で流したコップ、取り出して流水で洗剤を流したコップとも、乳アレルゲンが残留しており、
浸漬10分後にスポンジで軽く2回まわして水で流したコップは乳アレルゲンの残留はなく、取り出して流水で洗剤を流したコップには乳アレルゲンが残留、
浸漬20分後でも、取り出して流水で洗剤を流したコップには乳アレルゲンが残留していた。
小麦アレルゲン、卵アレルゲンにおいては、浸漬5分後にスポンジで軽く2回まわして水で流したコップには残留が見られなかったが、浸漬20分後でも、取り出して流水で洗剤を流したコップには小麦アレルゲン、卵アレルゲンが残留しており、

台所アルカリ石けん液においては、5分超の浸漬、スポンジでの手洗いでアレルゲン残留を抑え得る可能性があり、この状態で、自動食器洗浄機内環境(溜め水、壁面等)にタンパク質残留がなければ、混合洗浄であっても食器のアレルゲン残留は低くなる可能性が考えられ、洗い流す際もスポンジを使用することの有用性が伺えるところでもあります。
食器や自動食器洗浄機の使用年数も長期に渡ってくると洗浄効果が下がる傾向も見られていますので、食器に傷がある場合は買い替えなど、長期継続利用時は見直しや、予備洗浄の徹底をおこなうのが望ましいところでしょう。


出典・参考:保育所給食における効果的なアレルゲン洗浄の検討

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