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被災とダニアレルゲン暴露 2.19更新

2020.02.13

投稿者
クミタス

地震、河川氾濫などで被災したことにより仮設住宅住まいとなった方においては、長期に渡り生活が続く方もいらっしゃいますが、避難所や仮設住宅は限られたスペースでの生活で、開閉できる窓があったとしても、外で粉塵が舞っていると窓を開けることができず換気が行き届かない場合があったり、洗濯物を干すことができないなど、震災前と同じレベルでの生活を送ることが難しいところでもあります。
避難生活2か月弱の避難者の寝具に真菌(カビ)が発生しているのも確認されていますが、仮設住宅で生活された方においては、ダニ感作率が高く、また喘息有病率が高い傾向があるとの報告も見られています。

宮城県石巻市の仮設住宅に在住する15歳以上の住民を対象に呼吸器専門医による集団検診を行い、問診、聴診、胸部単純X線、肺機能検査、血清採取を施行し、気管支喘息のECRHS質問表に基づく期間有症率、医師の診断による有病率を調査。
アラスタット3g Allergyでダニ(Der f)、カビ(アスペルギルス フミガタス)を測定。2014年6月、7月、10月の3回(計6日間)で集団検診を施行した仮設住宅在住の住民341名の喘息の期間有症率は22.0%、有病率は22.9%であった。多くは震災後、避難所あるいは仮設住宅入居後に喘息を発症、あるいはすでに喘息のある住民の喘息症状が増悪していることが明らかとなった。血清中のカビ(アスペルギルス フミガタス)陽性率は10%未満であったが、ダニ特異的IgE抗体陽性率は医師の診断による喘息症例の36.0%で、非喘息住民の20.3%と比較して有意に高値であり、真菌の増加に伴い、ダニが増殖し、ダニアレルギーの感作が生じている可能性が考えられています。

東日本大震災後の住環境変化について被害の異なる宮城県 3 市町村の小学生を対象として喘息 、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の有症率、寝具のダニアレルゲン(Der 1)量、真菌叢を調査し地域差、因果関係を解析したところ、寝具の酵母様真菌の増加が冬のダニアレルゲン(Der 1) 量増加、小児のアトピー性皮膚炎の有症率と関連しており、寝具ダニアレルゲン(Der 1)量・真菌叢には地域差があり環境の影響の関与可能性も示唆されています。

今までと異なる住環境となることで、喘息やアトピー性皮膚炎を発症、増悪することがあります。仮設住宅も様々なタイプのものがありますが、室内の真菌量が多い場合があり、壁面に断熱材が少なく表面結露していたり、窓が少ない、戸の開閉回数の少ない環境下では真菌、ダニの量が多くなりやすくなります。
居住者一人あたりの居住スペースが狭く、収納が限られ、家具が多くなると、ハウスダストが溜まりやすくなる面がありますが、室内はできるだけ空気の流れをつくり、布団をあげたり、定期的に家具の位置を変えるなどもできるのが望ましいでしょう。

出典・参照:東日本大震災における応急仮設住宅住民を対象とした気管支喘息有症率、有病率調査
東日本大震災における応急仮設住宅住民を対象とした呼吸器アレルギー集団検診2・疫学調査
東日本大震災後の宮城県 3 市町村の小学生寝具における真菌叢とダニアレルゲン量、アレルギー疾患期間有症率の関係
避難所公衆衛生活動-ダニバスターズ報告

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