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食中毒原因菌感染後に消化管アレルギーを発症する可能性も

2019.06.18

投稿者
クミタス

アレルギー反応においては、感作誘導や増悪に影響するアジュバントの関与が考えられています。その作用を増強するアジュバントとしては、PM2.5、黄砂、ウイルス、タバコなどの微細粒子が挙げられます。
マウスでの試験においては、食物アレルゲンへの感作を促すうえで、Th2免疫応答を誘導するコレラ毒素をアジュバントとして使用することがあります。

生後8か月男児にて生後から人工乳を継続しており、7か月ごろに下痢、血便を認め近医に受診。便培養で腸管毒素原性大腸菌O6が検出され、ホスホマイシンを服用し改善。14日後、20日後に再度血便を認め他院に受診した際の検査では、WBC 23900(好酸球14%)、CRP 0.08、便培養で有意な原因菌は検出されず、大腸内視鏡検査でS状から上行結腸に炎症像を認め、組織中に硬度の好酸球湿潤を認めた。牛乳の特異的IgE検査、アレルゲン特異的リンパ球刺激試験では陰性であったが、診断的治療として高度加水分解乳に変更したところ、血便と便性は改善し、好酸球の低下を認めた。内視鏡検査後に一時期、腸管毒素原性大腸菌O6が検出されたが、便性は既に改善しており、持続した血便の主因としては否定的であった(出典・参照:病原性大腸菌O6の感染を契機に乳児消化管アレルギーを発症したと考えられた一例)。

腸管毒素原性大腸菌は、人の腸管内で下痢や腹痛などを起こす毒素(エンテロトキシン)を産生しますが、毒素には易熱性毒素と耐熱性毒素の2種類があり、腸管毒素原性大腸菌O6においては、2種類のうちいずれか、または両方を産生します。汚染された井戸水や野菜等の飲食により症状出現する場合があります。
上記例においては、易熱性毒素は検出されてはいなかったようですが、耐熱性毒素の存在は否定できず、毒素をアジュバントとして抗原感作が生じた可能性が考えられています。腸管毒素原性大腸菌など病原大腸菌の感染は、消化管アレルギーの発症に影響を及ぼす可能性がある示唆になりますが、また今後も情報をアップデートしていきたいと思います。

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