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アトピー性皮膚炎を機に除去した食物によるアレルギー

2019.03.08

投稿者
クミタス

アトピー性皮膚炎と診断された際、アトピー性皮膚炎の原因の疑いがあるとして特定の食物を除去し、後の食物経口負荷試験で、その食物を摂取した際に症状出現するようになっていたことが判明することもあります。

米国内の小児病院で2008年~2014年に卵、牛乳、ピーナッツ、大豆、小麦の食物経口負荷試験を実施した442人の中で、摂取出来ていた食物をアトピー性皮膚炎が理由で除去していたのは45人。そのうち食物経口負荷試験で即時型症状があったのは6人であり、それまでに摂食できていた食物をアトピー性皮膚炎が理由で除去していた方の中で13.3%(6人/45人)においてアレルギー症状が出現するようになった、との報告もあり(Eapen AA et al. Oral food challenge failures among foods restricted because of atopic dermatitis. Ann Allergy Asthma Immunol 2019; 122: 193-197.)、食物除去が必要でなかった方が除去をしていたことで、摂取再開時にアレルギー症状が出現した可能性が考えられるところでもあります。

今までにも、アトピー性皮膚炎における食物回避は食物アレルギーのリスクを高める可能性についての示唆はなされており、
https://www.aaaai.org/global/latest-research-summaries/New-Research-from-JACI-In-Practice/food-atopic-dermatitis
食物誘発性アトピー性皮膚炎と診断された小児132人のうち、25人において診断前には食物による即時反応の既往歴がなかったが、25人においてその後発生した即時反応の77.4%は除去していた食物によって起こっており、即時反応を起こす危険因子の1つとして、当該食物の除去が考えられるとの報告もなされています。

乳児アトピー性皮膚炎において、食物に対するIgE抗体の感作が先行して食物が湿疹の増悪に関与している場合や、原因食物の摂取により即時反応を誘発することもあり、また湿疹が管理された後は即時反応に移行することもあるとみられていますが、すべての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているわけではないところでもあります。
本来除去する必要のなかった食物の除去をおこなっていた後に、その食物にアレルギー症状が出現する場合もあることを踏まえ、アトピー性皮膚炎における食物除去の判断は慎重におこなわれる必要があるでしょう。

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