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エビアレルギーの状況

2019.02.13

投稿者
クミタス

エビアレルギーについては、以下にも掲載していますが、
エビアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1283
エビの主要アレルゲンであるトロポミオシンの熱安定性は、イカ<アワビ<エビ と、エビのトロポミオシンはイカやアワビよりも熱耐性があるとの示唆もあります。エビアレルギーにおいては、カニに必ずしもアレルギー症状が出現するとは限りませんが、7施設99症例のデータからのエビアレルギーの状況から、以下の傾向が伺えます。

7施設99人のエビアレルギー患者さんにおける状況

・男女比(44人:55人)

・発症年齢
この調査では20歳以上での発症が30%超となっています。
1歳未満 8人(8%)
1~6歳 38人(38%)
7~19歳 21人(21%)

・他のアレルギー罹患状況
成人では小児と比べ気管支喘息の罹患が高い傾向が見られます。
エビ以外の食物アレルギーがある 72人(72%)
アトピー性皮膚炎がある 47人(47%)
気管支喘息がある 43人(43%)
 ~成人においては65%
アレルギー性鼻炎がある 27人(27%)

エビによる食物アレルギー以外にまったくアレルギー性疾患がない 1人(1%)
エビによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーがある 3人(3%)

・症状出現までの時間
10分以内 57例
1時間以内 30例
1時間以上 8例

・症状出現時のエビの加熱状況
加熱済みエビに症状出現する方のなかでも、えび味のスナック菓子やえびせんべいにおいては症状出現しない方の存在も伺えます。
加熱済みエビに症状出現 55例
 ~かっぱえびせんに症状出現 16.3%(症状出現8例/摂食した49例)
 ~えびせんべいに症状出現 22.7%(症状出現10例/摂食した44例)
生のエビに症状出現 42例
生でも加熱済みでも症状が出現した 15例

・症状
皮膚症状 75例
 ~じんましん 57例、紅潮 26例、掻痒感 18例
口腔アレルギー症候群 49例
 ~口腔違和感 33例、咽頭違和感 23例、口唇の腫脹 16例
呼吸器症状 32例
腹部症状 17例
アナフィラキシー 61例
アナフィラキシーショック 2例

・他の魚介類アレルギーの併発状況
甲殻類内(エビ、カニ、シャコなど)のトロポミオシンの相同性に比べて、甲殻類と軟体類、貝類のトロポミオシンの相同性は低いことなどからも、エビにアレルギーのある方における臨床的交差性はカニが 64.7%、タコ 20.3%、イカ 17.5%、ホタテ19.6%、シャコ 21.4%との示唆がありますが、カニにも症状出現する方に比べ、イカ、タコ、ホタテ、アワビにアレルギー症状が出現する方は少ない面が伺えます。
イカにもアレルギー症状がある 11人/イカを食べたことのある63人中 (17.5%)
タコにもアレルギー症状がある 13人/タコを食べたことのある63人中 (20.3%)
ホタテにもアレルギー症状がある 9人/ホタテを食べたことのある46人中 (19.6%)
アワビにもアレルギー症状がある 2人/アワビを食べたことのある21人中 (9.5%)
その他の貝類にもアレルギー症状がある 11人/その他の貝類を食べたことのある26人中 (42.3%)

・他の甲殻類アレルギーの併発状況
カニにもアレルギー症状がある場合でも、カニエキスには症状出現しない方の存在も伺えます。カニと同じく甲殻類であるシャコ、オキアミにおいては、カニと比べて摂食していない人が多い状況でもあります。シャコ、オキアミはカニよりも症状出現が低い可能性もありますので、エビアレルギーの状態に合わせて少量からの摂食も検討してみても良いかもしれません。
カニにもアレルギー症状がある 44人/カニを食べたことのある68人中 (64.7%)
 ~カニエキスに症状出現 21.2%(症状出現7例/摂食した33例)
シャコにもアレルギー症状がある 3人/シャコを食べたことのある14人中 (21.4%)
オキアミにもアレルギー症状がある 4人/オキアミを食べたことのある15人中 (26.7%)

今後、ほかの貝類における症状出現状況など関しても情報をアップデートしていきたいと思います。

出典・参照:日本における小児から成人のエビアレルギーの臨床像に関する検討
国立病院機構相模原病院小児科 富川盛光、同愛記念病院アレルギー・呼吸器科 鈴木直仁、藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 宇理須厚雄、国立病院機構相模原病院アレルギー科 粒来崇博、同志社女子大学生活科学部 伊藤節子、国立病院機構福岡病院小児科 柴田瑠美子、あいち小児保険医療総合センターアレルギー科 伊藤浩明、国立病院機構相模原病院臨床研究センター 海老澤元宏

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