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特異的IgE抗体陽性が続く理由として①

2019.07.14

投稿者
クミタス

ヒトの免疫系には、生体が元々備えている、外からの異物を認識し排除しようとする「自然免疫系」と、一度侵入した異物が2回目以降に侵入した際に、より迅速、強力に排除しようとする「獲得免疫系」があります。
マクロファージ、樹状細胞、好中球、NK細胞等が担うのが自然免疫系で、獲得免疫系ではB細胞やT細胞が中心的な役割を担うと考えられています。獲得免疫系には免疫記憶のメカニズムが備わっていると見られ、自然免疫系にも記憶が存在し特定の遺伝子のエピゲノム変化が長期間維持されるとの示唆もあります。
食物アレルギーのある方においては、食物抗原を取り込んでいないときでも特異的IgE抗体値が陽性である状態が続くことがありますが、免疫記憶が有効になっていることによる影響などが可能性に挙げられます。

アレルゲンを1度も取り込んでいない状態では、B細胞は細胞表面にB細胞受容体を発現しており、アレルゲンを体内に取り込み、B細胞が接触するとIgM型の抗体が産生され、血中でIgM型の免疫グロブリンが検出されるようになります。そしてアレルゲンにより活性化されたB細胞とT細胞との相互作用により、IL-4などのサイトカインを産生し、IgG1や IgE が発現されるようになり(クラススイッチ)、抗体を産生する形質細胞や記憶B細胞への分化を誘導し(IL-4はIgG1やIgE、IFN-γはIgG2a、TGF-βはIgAなどへのクラススイッチが起こると見られています)、 IgE抗体が産生されます。

IgE抗体はアレルゲンの暴露が一過性であれば、2週間をピークに産生され(一次免疫応答)、3週間後には血中のIgE抗体はかなり減少しているともみられていますが、再度同じアレルゲンに暴露されると、一次免疫応答とは異なり早期に大量の IgE 抗体が産生されると考えられています(二次免疫応答)。
IgE依存性反応では、産生されたIgE 抗体が高親和性IgE受容体(FcεRI)を介しマスト細胞(肥満細胞)に結合すると感作が成立し、アレルゲンが再度体内に取り込まれ、マスト細胞(肥満細胞)上のIgE抗体に吸着結合すると、脱顆粒によるヒスタミン、セロトニンなどのケミカルメディエーターの放出と、ロイコトリエン、プロスタグランジンといった脂質メディエーターなどの産生が誘導され、アレルギー症状が出現することになるとみられています。
初回の免疫応答時にアレルゲンに感作され活性化したB細胞は、抗体産生に特化した寿命の短い形質細胞へと分化しますが、加えて記憶B細胞となり数年から数十年といった長期間存在し、同じアレルゲンを再度体内に取り込んだ際には、速やかに反応し大量の抗体を産生するようになる、とも考えられています。
記憶B細胞の長期生存のメカニズムについては、まだわかっていないことが多いところではありますが、マウスモデルでの記憶担当細胞の形成抑止可能性に関する報告なども見られています。
また今後も新たな情報をアップデートしていきたいと思います。

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