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帝王切開と食物アレルギー 12.11更新

2018.12.06

投稿者
クミタス

妊娠中に切迫早産の治療として子宮収縮抑制剤(塩酸リトドリン)を経静脈的に長期間使用すると、産まれた児が5歳になったときの喘息有症率が高くなることを示唆する報告もなされていますが、他因子との関連可能性も考えられています。

暴露する細菌の違いと食物アレルギー発症リスクとの関連可能性


経膣分娩、帝王切開での違いとして、乳児が暴露する細菌叢の違いも1つに挙げられ、経膣分娩により出生した乳児は母親の膣口までの細菌叢に暴露することで、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、プレボテラ(Prevotella)属、スネアチア(Sneathia)属等が優勢菌となり、帝王切開では母体の皮膚由来などと思われるスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属などが優勢菌となり、全体的には経膣分娩で出生した乳児の方が、腸内細菌がより多様になるとの示唆もあります。

周産期特性と食物アレルギーとの関連性を特定するために、スウェーデンで2001年から2012年の間に生まれ、性別、妊娠形態、妊娠期間、出生時体重、および生後5分後のApgarスコアなどのデータを有する小児 計1,086,378人を対象に、フォローアップをおこなったところ(フォローアップの中央値は6.4年)、26,732人(2.5%)が食物アレルギーと診断され、帝王切開で出産し、5年以上経過観察された小児の食物アレルギーのリスクは、経膣分娩で生まれた小児よりも21%高かった、との報告もなされています(出典・参照:Cesarean delivery, preterm birth, and risk of food allergy: Nationwide Swedish cohort study of more than 1 million children)。

尚、上記研究においては、早産と小児の食物アレルギーリスクとの関連は低い可能性を示唆しています。
食物アレルギーの発症に、曝露する細菌による影響がどの程度あるのかは明確でない面もあり、帝王切開で産まれる場合の他の因子による影響可能性もありますが、帝王切開で生まれた児において、経膣分娩で生まれることで曝露することの多い細菌に、児の生育過程で曝露する場合、食物アレルギーリスクが低減するなど影響するのか、など他の見解等も含めまた情報があり次第アップデートしていきたいと思います。

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