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経腸栄養剤によるアレルギー

2023.02.20

投稿者
クミタス

からだに必要な糖質、タンパク質、脂質、電解質、ビタミン、微量元素などを経口補給もしくはチューブを用いて投与する経腸栄養においては、半消化態栄養剤、流動食、ミキサー食があります。半消化態栄養剤には、エンシュア・リキッドなどがありますが、牛乳由来のカゼインが含まれている製品などによるアレルギー発症例が見られています。
例:エンシュア・リキッド
たん白質は250mL中8.8g含有。内訳として乳タンパク質と大豆タンパク質が 86.9:13.1 の割合で配合されており、250mL中乳タンパク質は約7.65g含有。カゼインナトリウムは5.9g、カゼインナトリウムカルシウム2.7g、分離大豆タンパク質1.3g、大豆レシチン0.4g含有。

87歳女性。仙骨部褥瘡および敗血症性ショックのため入院し抗菌薬投与,局所外用処置による加療中に日常生活動作が低下し嚥下困難となり,経管栄養を新規導入した。経過中に好酸球増多および播種状紅斑がみられ、当初薬疹を疑ったが、精査により経管栄養剤によるアレルギーが疑われた。患者に牛乳アレルギーの既往はなかったが、アレルギー症状を示した際に投与していた経管栄養剤には乳清蛋白分解物または乳蛋白質が含まれており、原因成分として疑わしいと考えられた。また精査には薬剤リンパ球刺激試験が有用であった(出典・参照:曽遥 植木理恵 清水智子 長谷川舞 順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター 経管栄養剤によるアレルギーが疑われた1例)。

生後36時間で細菌性髄膜炎に罹患し、人工呼吸器管理下にあり、時折肺炎を併発していた2歳3ヵ月の女児。経口栄養剤をエレンタール®Pからエンシュアリキッド® に変更した数分後に血圧低下、気管支攣縮を起こしショック状態に陥った。症状改善後に行った IgE-RAST検査では,エンシュアリキッド®のタンパク質の構成成分であるカゼインに50IU/ml以上(クラス4)と強陽性を示すなどにより、エンシュアリキッド®に含まれるカゼインによるアナフィラキシーショックと診断された(出典・参照:前川和代 青木武雄 花城可雅 野中薫雄 エンシュアリキッド® によるアナフィラキシーショックの1例)。

乳タンパク質以外にも大豆タンパク質が原因となり症状出現する場合もあります。また卵タンパク質、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、玄米・米タンパク質などを含むプロテイン製品などもありますので、使用の際には製品ごとに成分をご確認ください。
プロテイン製品とアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4486

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