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舌下免疫療法(SLIT)と好酸球性消化管疾患

2024.09.26

投稿者
クミタス

日本では皮下免疫療法 (SCIT)と舌下免疫療法(SLIT)が行われており、舌下免疫療法(SLIT)は2014年からスギ花粉症に、2015年からダニ通年性アレルギー性鼻炎に対して保険診療となり、舌下免疫療法(SLIT)は皮下免疫療法 (SCIT)に比べて注射の痛みがなく、アナフィラキシーショックなどの致死的な副反応が少ない特徴が挙げられています。ただ、舌下免疫療法(SLIT)により口腔、消化器での症状を誘発する場合があり、好酸球性の消化器疾患を生じることもあります。

21歳男性。既往歴:アトピー性皮膚炎, リンゴに対する食物アレルギー。
家族歴: 父母 アレルギー性鼻炎。飼育歴 なし。
診療経過: 幼少時よりアレルギー性鼻炎があり、特に数年前より3月から5月頃のスギ・ヒノキ花粉飛散期のアレルギー性結膜炎の増悪があり精査加療目的で受診。鼻・眼症状が落ち着く頃からスギ花粉症に対する舌下免疫療法(SLIT)を開始することになった。
シダキュア 2,000 JAU から開始し, 副反応は生じなかった。 1週間後に予定通り 5,000 JAUへ増量し1ヵ月後の再診を指示し帰宅させた。維持量に到達後1週間目ぐらいより腹痛を自覚し徐々に増悪するため,維持量到達後2週間目に当院救急外来を受診。 腹部単純レントゲンと好酸球数分画を含めた。採血で特に異常がないため, 急性胃腸炎の診断で整腸薬などを処方され帰宅した。
しかしその後も症状は増悪し嘔気・嘔吐や頻回の下痢も伴うようになり, 舌下免疫療法(SLIT)開始1ヵ月後に近医内科を受診。 持続する腹痛と採血における好酸球数分画の上昇から好酸球性消化管疾患(EGIDs)が疑われ, 受診翌日と翌々日に下部消化管内視鏡検査と上部消化管内視鏡検査が行われた(出典・参照:安田誠 , 岡本翔太 京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道外科 京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 舌下免疫療法により好酸球性消化管疾患が生じた症例)。
 
上記は、スギ花粉舌下免疫療法(SLIT) をきっかけに好酸球性消化管疾患(EGIDs)を発症したと考えられるケースで、舌下免疫療法(SLIT)においても副反応を引き起こすことがあることを示唆する報告になります。
他の報告も含め、今後も掲載したいと思います。

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