1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

酵母と消化器症状

2021.02.07

投稿者
クミタス

Saccharomyces cerevisiae (サッカロミケス(またはサッカロマイセス、サッカロミセス)・セレビシエ)は、パン酵母として、また清酒、焼酎、ウイスキーの醸造に主に使用される酵母としても知られていますが、消化器症状を誘発する場合があります。

・食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)の疑い
3歳時に自家製米粉パンを摂取して、約5時間後に頻回の嘔吐が出現することが複数回あり、3歳9か月時にドライイーストを用いた自家製米粉パンにて食物経口負荷試験を実施し、摂取後4時間で複数回の嘔吐が出現。ドライイーストによる食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)と考えられた(出典・参照:国立病院機構高崎総合医療センター小児科 群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野 佐藤幸一郎 八木久子 内田亨 徳永真理 山田論 西田豊 滝沢琢己 ドライイーストによる食物蛋白誘発胃腸症が疑われた1例)

クローン病患者さんにおいて酵母に反応を起こし、抗 Saccharomyces cerevisiae 抗体が陽性となる場合もあります(アジア人における抗 Saccharomyces cerevisiae 抗体の感度特異度は欧米人に比べると低いとも見られています)。
Saccharomyces cerevisiae はプリン代謝を促し尿酸生成を増やし、腸炎マウスモデルの腸の損傷を悪化させ、マウスに尿酸を減少させる痛風薬アロプリノールを投与したところ、Saccharomyces  cerevisiaeによる大腸炎が緩和したとの報告もあります。
Saccharomyces cerevisiae を吸入した場合の呼吸器疾患含めアップデートしていきたいと思います。

Chiaro TR, Soto R, Zac Stephens W, Kubinak JL, Petersen C, Gogokhia L, Bell R, Delgado JC, Cox J, Voth W, Brown J, Stillman DJ, OConnell RM, Tebo AE, Round JL (2017). A member of the gut mycobiota modulates host purine metabolism exacerbating colitis in mice. Sci Transl Med, 9(380).

    {genreName}

      {topics}