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乳糖による経口負荷試験~乳糖不耐症、乳アレルギー 8.26更新

2019.08.23

投稿者
クミタス

小腸粘膜の乳糖分解酵素ラクターゼ活性が低下すると乳糖不耐症となり、乳糖がグルコースとガラクトースに分解できないことで乳糖含有食物・食品の摂取により大腸内で醗酵性下痢または高浸透圧性下痢、また腹痛を生じます。また乳糖不耐症の便では酸臭が強い傾向があります。

乳糖による経口負荷試験


乳糖不耐症の検査の1つである​乳糖負荷試験では、乳糖を経口摂取し、血糖値の上昇の程度から乳糖消化能を評価しますが、乳糖摂取後、経時的に採血のうえ血糖値を測定し血糖の上昇程度を調べます。

最大50gの経口乳糖負荷試験を実施し、血糖値の上昇が20mg/dL未満で腹部症状を呈した陽性者12人の成人(平均年齢48歳、女性11人)においては、平均BMI22.3kg/m2、糖尿病の既往なし、牛乳特異的IgE抗体価、牛乳アレルゲンコンポーネント特異的IgE抗体価は0.1UA/ml未満と陰性で、牛乳での皮膚プリックテストも陰性。大腸内視鏡検査を実施した8人において炎症性腸疾患は認めなかった結果が見られています(出典・参照:成人の乳糖不耐症12例の検討)。

また、乳アレルギー児に乳糖を用いて食物経口負荷試験を42人(年齢中央値53か月、19人(45%)に牛乳にアナフィラキシーの既往)に施行した例では、陽性は2人(5%)で嘔吐や局所の蕁麻疹を認め、判定保留10人、陰性30人であった(出典・参照:牛乳アレルギー児に対する食品用乳糖の食物経口負荷試験の検討)と報告しており、陰性の方も多い一方、乳糖に残留する乳タンパク質などにアレルギー症状を生じる方も認められるところでもあります。

症状の改善対策として、乳児の乳糖不耐により生じる消化不良の改善、経管栄養食、経口流動食等摂取時の乳糖不耐により生じる下痢等の改善に、乳糖分解酵素剤が処方されることがあります。牛乳200mLに乳糖分解酵素剤(β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス))0.5g、1.0gを加え、37℃で60分インキュベートし、乳糖分解率を測定したところ、pH4.0~5.0付近で約65%の乳糖分解率を示すなど、乳糖を分解して消化吸収を良くする作用があります。
また追加情報を更新していきたいと思います。

これは食物アレルギー?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2574
牛乳の組成
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3148

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