1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

2015年のアナフィラキシーによる致死状況

2016.09.17

投稿者
クミタス

アレルゲン別のアナフィラキシー


平成27年(2015)人口動態統計(確定数)が公開されましたので、2015年の日本におけるアナフィラキシーによる死亡者数を以下にまとめます。

・適正に投与された正しい薬物及び薬剤の有害作用によるアナフィラキシーショックによる死亡
男性9名、女性14名
参考:
2014年 男性14名、女性11名

ビリグラフィンショック(造影剤)、ペニシリンショック、ヨードショック、薬物性ショック、造影剤ショックが該当します。

・スズメバチ,ジガバチおよびミツバチとの接触による死亡
男性20名 女性4名

・有害食物反応によるアナフィラキシーショックによる死亡
男性0名、女性0名
参考:
2014年 男性0名、女性0名
2013年 男性1名、女性1名
2012年 男性1名、女性1名

・血清によるアナフィラキシーショックによる死亡
男性1名、女性0名
参考
2014年 男性0名、女性1名

輸血によるショックが該当します。

・アレルギー性喘息を主とする疾患による死亡
男性413名、女性724名

原因が判明している死についての報告数でありますが、食物アレルギーによるアナフィラキシーショック死については、薬物・薬剤や蜂に比べると引き続き低い発生数(0~2人)であることが伺えます。

アナフィラキシー出現原因においては、食物は薬物・薬剤、昆虫よりも高い数値(発現率)になりますが、アナフィラキシーショック死に至る人数が少ない理由としては、食物アレルギーによるアナフィラキシーでは発症から心停止までの時間が、薬物・薬剤、蜂毒によるアナフィラキシーと比べると長いことも挙げられます。
平均で食物アレルギーによるアナフィラキシーの場合で約30分ほど、蜂毒によるアナフィラキシーの場合で約15分ほど、薬剤によるアナフィラキシーの場合で約5分と差があり、過去における、食物アレルギーによるアナフィラキシーでの死亡例4例においては、4例とも病院へ搬送された時点で心肺機能停止の状態であり、2例ではアナフィラキシー発症からアドレナリン投与まで30分以上経過していたとの報告もあります。

食物アレルギーによるアナフィラキシー発症時に落ち着いてエピペン(アドレナリン)投与ができれば、応急処置し得る可能性が高いとも言えます。
また蜂毒によるアレルギー症状を自覚したことのある方は、特に野山など屋外で救急搬送にも時間を要する場所に出向く際には尚、エピペン持参が望ましいでしょう。


出典:人口動態調査 2015 死亡数,性・死因(死因基本分類)別
食物アレルギー患者がアナフィラキシーを誘発した際の食品形態、販売形態、対処方法及び食品原材料名等の調査結果について

アナフィラキシーにおける二相性反応


症状が沈静した後、1~8時間後内に再度症状が出現することがあり、小児のアナフィラキシーにおいて二相性反応は0.9%に起こった(小児病院におけるアナフィラキシーと二相性反応 国立成育医療研究センター総合診療部)との報告もあります。
中には78時間後の再度症状出現というケースもありますが、初期反応後もしばらく様子を見ていけると尚、良いでしょう。

アナフィラキシーを起こした原因物質の内訳として2008年~2013年までの間では、0歳においては鶏卵が58%(12件中7件)、1~6歳においては魚卵が31%(16件中5件)、7歳以上においてはそば38%が最も多くなっています。

成人については以下も参照ください。
成人のアナフィラキシーにおける原因物質 成人のアレルギー②
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1554

    {genreName}

      {topics}