ダイエットフードとしても人気のチアシード、バジルシード。
バジルシードは、バジルの葉の種であり、チアシードはシソ科植物の種になります。
違いについては以下情報を目にする機会もあるかと思います。
チアシード(シソ科サルビア属)
色:黒、茶、灰色
原産地:メキシコ、アルゼンチンなどの南米
膨張率:水分を吸収すると10倍に膨張
バジルシード(シソ科オシウム属 和名メボウキ)
色:黒のみ
原産地:タイ、カンボジアなどの東南アジア
膨張率:水分を吸収すると約30倍に膨張
見た目、食感の違い
バジルシードは水分を吸収するとカエルの卵のような見た目になります。無臭ですが黒い種部分はキウイの種のような食感で、噛むと少しだけ土のような味わいを感じるものもありますがほぼ無味です。チアシードの方もほぼ無味無臭で、バジルシードとも何かに混ぜて食べるときに、癖を感じるほどのものではないかと思います。
バジルシード、チアシードともに水分を吸収すると種を覆っている繊毛に水が絡み水を抱え込むことで、種のまわりがゼリー・寒天状になります。チアシードはバジルシードと種の大きさはほぼ同じですが、水分を吸収した状態ではバジルシードの方がゼリー・寒天状の量が多くなり、タピオカに近いものになります。
グルコマンナンの効果と必要な対応
ゼリー・寒天状のものの主成分はグルコマンナンで、こんにゃくの主成分でもあり、人の消化酵素で消化できず、一緒に食べたものを消化吸収させない性質があります。
その利点として、今までに以下も報告されています。
・グルコマンナンを 5g×2 回/日で食事の形で摂取した結果,血清コレステロール濃度の有意な低下を認めた。
The Effect of Foods Containing Refind Konjac Meal on Human Lipid Metabolism
Zang Mao-yu et al. Biochemical, Enviromental Sciences, Vol.3, 99-105, 1990
・糖尿病患者へのグルコマンナン投与後の食後血糖上昇抑制が認められた。
食物繊維の糖尿病治療への応用(第 4 報)とくに食物繊維の粘度と食後血糖上昇抑制効果 土井邦紘 糖尿病 25(3),197-203,1982
・健常者6人と糖尿病患者5人にグルコマンナン(プロポールA)3.9g/日とビタミンE、B12を経口投与し、糖尿病患者にはビタミンAを追加で投与するとビタミンA、E の吸収は抑制されビタミンB12の吸収抑制は認められなかった。
食物繊維の糖尿病治療への応用 ビタミンの消化管からの吸収に及ぼす影響(第5報)土井邦紘 糖尿病 27(11),1163-1168,1984
・Ⅱ型糖尿病患者の精製コンニャク粉(RKM)摂取30日後・65 日後の空腹時の血糖値(FBG)及び食後2時間後の血糖値(PBG)に大幅な減少、高脂血症者のトリグリセリド値の大幅な減少も認められた。
Effect of Konjac Food on Blood Glucose Level in Patients with Diabetes Huang Cheng-Yu et al. Biomedical and environmental Science 3 123-131,1990
・コンニャクマンナン(KJM)を配合したビスケットとプラセボを、11人の高脂血症・高血圧症のⅡ型糖尿病患者に対し無作為に3週間ずつ2回に分けて投与したところ、血清フラクトサミン、HDL コレステロール値、最大血圧の有意な低下が認められた。
Konjac-Mannan(Glucomannan) Improves Glycemia and Other Associated Risk Factors for Coronary Heart Disease in Type 2 Diabetes Vladimir Vuksan et al. DIABETES CARE, Vol.22, No.6, 1999
等、個人差はありますが、グルコマンナンの血糖値抑制、血圧降下、脂質吸収阻害効果が報告されています。
ただ過剰摂取により脂質以外の栄養素の吸収阻害可能性を挙げる意見もあり、膨満感と合わせダイエット向き食品ではありますが、栄養不足に陥るリスク、水分の吸収が十分でない状態で胃の中に入ると胃の中で膨張したり、腸閉そくが起こる可能性もあります。
グルコマンナンは1日の摂取量の上限が4~5gとも言われており、そしてバジルシードの1日摂取目安量は9g、チアシードは10gとする意見も参考に、1度に大量に摂取しないようにすることも重要です。
妊娠中、授乳中の摂取は・・・?
栄養が必要になる時期において、栄養吸収阻害を引き起こすことがあり、また妊娠中、授乳中におけるグルコマンナン摂取の安全性を示す十分なデータがないことを挙げる意見もあり、使用を控えるか、使用前に医師に相談されるのが良いかと思います。
グルコマンナンとアレルギーの関係
バジルシード、チアシードとも食物繊維が主成分ですが、チアシードにはオメガ3脂肪酸、葉酸、鉄分、カルシウム、たん白質も比較的多く含まれます。
過剰摂取でなければ脂質系栄養素以外は吸収阻害が起こらない可能性もありますが、種をしっかり挽いて粉状にしないと、種の形状のママ排出され栄養吸収されない場合があります。栄養も意識したいときは、挽いた状態で水分吸収し摂取するのが望ましいかと思います。
そして粒子状のグルコマンナンは、アレルギー性の炎症の原因であるIgE抗体を減らす作用を報告するレポートもあります。
・粉砕されたコンニャクグルコマンナンを含む飼料を与えることにより、アトピー性皮膚炎のモデルマウスで皮膚炎予防ができることがわかった。飼料に含まれている微粉砕コンニャクグルコマンナンを与えたマウスは、コントロールの試料を与えたマウスよりもくしゃみの頻度が少ないことがわかった。花粉症などの鼻のアレルギーを防止するときに微粉砕コンニャクグルコマンナンが有益であることを示唆した。
Dietary Pulverized Konjac Glucomannan Prevents the Development of Allergic Rhinitis-Like Symptoms and IgE Response in Mice Nobukazu Onishi et al. Biosci Biotechnol.Biochem.71(10),2551-2556,2007
ほかのグルコマンナンの利点
グルコマンナンが腸内細菌に分解される際、酢酸(短鎖脂肪酸)やプロピオン酸、酪酸などが生産されると言われています。
そのことで腸を酸性の状態に保ち有害な菌の増殖を抑制したり、大腸の粘膜を刺激してぜん動運動を促進、免疫反応を制御するはたらきもあると示唆されており、バジルシード、チアシードは、妊娠期、授乳期以外で適量にて不足する栄養を補って摂取することで、様々な点で期待する面もあるかと思います。
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