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アレルギー性の咳と思われていたがシェーグレン症候群であった例

2020.04.08

投稿者
クミタス

シェーグレン症候群は、自己免疫疾患、膠原病の1つで、涙や唾液を作りだしている涙腺、唾液腺などの外分泌腺に慢性的に炎症が生じ、涙や唾液の分泌が低下し、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現します。子供から成人までのさまざまな年齢での発症がみられ、女性での発症が多い面があります。シェーグレン症候群は単独で発症する一次性シェーグレン症候群と、他の膠原病に合併する二次性シェーグレン症候群があり、二次性シェーグレン症候群は、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎などに合併し、一次性シェーグレン症候群は病変が涙腺、唾液腺などの外分泌線に限局する腺型と、病変が全身の臓器におよぶ腺外型があります。
症状としては口が渇く、涙が出ない、目が渇く、鼻が乾く、髪の毛が抜けやすい、皮膚の乾燥、気管粘膜の乾燥、咳が出る、虫歯ができやすい、口内炎ができやすい、夜間の頻尿、紫斑、皮疹、レイノー現象(寒冷などにより指が白くなって痛くなったり、しびれたりする症状)、性交時痛、疲れやすい、関節痛などがあり、間質性肺炎を生じることがあります。

咳が慢性的に続きアレルギー性咳嗽とみられていた方において、実際にはシェーグレン症候群の症状であったケースも見られています。

33歳女性。主訴:咳嗽、鼻汁。家族歴:父が全身性エリテマトーデス。既往歴:32 歳時に好酸球性胃腸炎。喫煙歴:なし。ペットの飼育歴:なし。合併症:アレルギー性鼻炎。
現病歴:2017年5月1日より咳嗽、鼻水出現し、5月6日に近医耳鼻科受診にてアレルギー性咳嗽と指摘され、モンテルカスト、ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラー(FF/VT200)、チペピジンヒベンズ酸塩が投与されたが改善せず、5月11日に他院受診となった。
呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定値は11ppbで肺機能上も正常で、モンテルカスト、FF/VT 200 は継続、チペピジンヒベンズ酸塩は麦門冬湯に変更し、リン酸コデインの服用で経過をみたところ症状軽減し、一旦内服・吸入薬を中止したが、咳嗽のみ時々出現していた。2018年6月6日に再診し乾燥症状の訴えから血液検査施行し 抗核抗体(ANA)、抗SS-A抗体陽性で、眼科にてドライアイを認め、口腔外科にてガムテスト陽性、口唇生検で慢性唾液腺炎にてシェーグレン症候群と診断された(出典・参照:アレルギー性咳嗽として治療されていたシェーグレン症候群の1例 渡邉直人 1)、牧野荘平 2)、中村陽一 1) 1)横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター、2)東京アレルギー・呼吸器疾患研究所)。

後鼻漏、胃食道逆流などが原因で咳が続くこともありますが、8週間以上続く咳においては、アレルギー性、乾性咳嗽が多い傾向があり、口腔内の乾燥を引き起こすことがある糖尿病、腎障害、サルコイドーシスなどが背景の慢性的な咳である場合もあります。また今後も疾患と咳との関係などについても掲載していきたいと思います。

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