1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

魚、貝、甲殻類と接触し皮膚症状などが出現する場合

2019.06.26

投稿者
クミタス

職業上、日常的に同じ食物を取り扱う機会の多い方においては、吸入、接触するうちに呼吸器症状、皮膚症状が出現することがあります。繰り返し小麦粉を吸入することで鼻炎、目のかゆみ、結膜炎、咳、胸苦しさ、ぜんそく、喘鳴の息切れ、呼吸困難等を生じる「パン屋ぜんそく」も挙げられますが、魚、貝、甲殻類と接触しているうちに経皮感作し、摂食した際に食物アレルギーを発症する場合があります。

22歳男性。初診の2年前に寿司屋に就職し生の魚介類を扱うようになった。1ヵ月前に生のアワビ、クルマエビとアカエビの調理中に手に瘙痒感を伴う発赤が生じ、その後全身の瘙痒感、呼吸困難感を訴え救急搬送された。その後も仕事を継続し、いつも同時に扱うアワビとクルマエビを調理した際には、時折手の瘙痒感や咳嗽を自覚していた。精査目的で受診したところ、血液検査ではアサリ、カキとホタテの特異的IgEがクラス2、プリックテストでは、生のアワビで強陽性、加熱したアワビ、生のクルマエビ、生のタコで陽性であった。アワビのプリックテスト中、軽度の呼吸困難感が出現したが、5分ほどで自然に軽快した。また生と加熱したアカエビを含むほかの各種魚介は陰性であった。タコは接触しても摂取しても症状は生じなかった(出典・参照:寿司職人に生じたアワビによる接触蕁麻疹症候群の1例)。

えび、かにの主要アレルゲンの1つであるトロポミオシンは、軟体類である貝類においても同様にアレルゲンとして考えられています。ただ、甲殻類のトロポミオシンと軟体類のトロポミオシンとのアミノ酸配列相同性はエビ、カニ間と比較して低く、エビにアレルギー症状のある方でホタテ、イカ、タコにアレルギー症状が出現した割合として20%前後との報告もあります。

職業性経皮感作魚アレルギーのある6人(男3人、女3人。年齢18歳~26歳)においては、調理師2人、魚屋、寿司屋、居酒屋でバイト各1人、水族館飼育員1人で、調理師2人、魚屋、寿司屋、居酒屋でバイト各1人では就業後に魚を摂食し即時型アレルギーを発症し、水族館飼育員1人においては魚を接触し接触蕁麻疹を発症した。原因となった魚類はサケ、サバ、アジ、カレイ、ブリなど複数であり、アレルゲンとしてパルブアルブミンやコラーゲン以外に、ミオシン重鎖、α-アクチニン3を特定した(出典・参照:職業性による経皮感作魚アレルギーの検討)。

パルブアルブミンやコラーゲンは魚類のアレルゲンの1つであり、多くの魚に存在しています。魚種により分子構造に違いが見られ、魚種によってはアレルギー症状が出現しない可能性もありますが、魚類のパルブアルブミンは魚種間で抗原交差性があると考えられており、複数の魚にアレルギー症状が出現する要因にもなります。
皮膚に切り傷をつくったり、水仕事により手荒れがある状態では、経皮感作を起こす可能性が高くなると考えられますが、魚や甲殻類は取り扱う際に、手に傷をつくる場合があります。傷ができた際には、早めに治療し、可能な範囲で手袋の着用も心がけられるのも望ましいでしょう。
ミオシン重鎖、ミオシン軽鎖、αアクチニンなどはトロポミオシンと同様に筋原線維の主要タンパク質になります。ミオシン重鎖、ミオシン軽鎖、アクチニンに関してはまた改めて記事を掲載したいと思います。

COMMENT COMMENT

    {genreName}

      {topics}