1. クミタス記事
  2. クミタス記事詳細

読み物

人気記事

抗がん剤にアレルギー反応を示した方への段階的な投与

2018.11.27

投稿者
クミタス

効果を期待したい治療において、アレルギー反応など副反応を示す場合、他の治療方法の選択肢が少ない際には副反応とのバランスの中で使用が可能なのか、思うところでもあるかと思います。
抗がん剤にアレルギー・過敏反応を生じる方において、免疫療法として段階的に抗がん剤の摂取量を増やしていくことで、アレルギー・過敏症状の出現を抑え、抗がん剤の摂取を可能にしていく方法も取られています。

抗がん剤のカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、リポソームドキソルビシン、ドキソルビシン、リツキシマブでの治療に際し、アレルギー・過敏症状を示す患者さん98人に、免疫療法として、12段階で徐々に投与量を増やしていったところ、全ての患者で十分量の投与が可能であり、対象のうち94%はアレルギー・過敏症状は全く起きないか軽度に誘発されたのみであった(出典・参照:Hypersensitivity reactions to chemotherapy: outcomes and safety of rapid desensitization in 413 cases.)

直腸がん患者さんで、CapeOX[capecitabine+oxaliplatin(L-OHP)]+ bevacizumab 療法が導入され部分的に効果があったものの、手足症候群のため6コースで中止。経過観察中に同再発部位の増大を認めたため、FOLFIRI+cetuximab 療法が開始されたが十分な腫瘍縮小効果が得られず、局所コントロール目的に腹会陰式直腸切断術が施行された。しかし術後経過観察中に骨盤内再発に起因する左側水腎症を来し、L-OHP の耐性は確認されていなかったため、L-OHP の効果を期待して尿管ステント留置後に mFOLFOX6+bevacizumab 療法を導入。3コース目の L-OHP 投与開始直後にGrade2 のアレルギー(紅斑)が出現したため投与を中止したが、L-OHP の抗腫瘍効果を期待して4コース目から免疫療法で治療を継続した。病勢進行を認めるまで mFOLFOX6+bevacizumab 療法を計27コース施行し、最良総合効果は部分奏効で、L-OHP の免疫療法が有用であった(出典:Oxaliplatinのアレルギーに対して脱感作療法が有効であった直腸癌術後再発の1 例)

抗がん剤にアレルギー・過敏反応を生じる場合がありますが、疾患治癒、症状改善に必要な治療や対応、特に生命予後に関わる治療は、有効性、安全性において問題が無ければ可能な限り実施したいところでもあり、アレルギー・過敏症状が理由で中断した方においても、免疫療法にて摂取が可能になるのであれば、意義があることでもあります。
他の情報も追記していきたいと思います。

    {genreName}

      {topics}