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喘息と気管支結核、肺結核

2018.10.26

投稿者
クミタス

結核は2018年においても毎月1,000~1,400人の新たに結核と診断された患者さんが存在し、高齢者だけでなく0歳以降などの低年齢者でも発症する感染症でもあります。2018年1月~8月の累積の年換算結核罹患率では、大坂が最も高く、次いで兵庫、大分、長崎、和歌山、徳島、香川、沖縄、東京、岐阜などで高くなっています。

結核は肺結核が主ですが、肺結核以外に、気管支結核、結核性胸膜炎などがあります。気管支結核の症状としては、咳が出やすく、喀痰、また気道狭窄をきたし喘息のように喘鳴が出現したり、呼吸困難となることもあります。気管支結核では肺結核よりも女性に多い傾向が見られるとの示唆もあります。
気管支結核では、肺結核を合併することがありますが、レントゲン画像上で異常を呈さない場合もあり、気管支炎、喘息と、また発熱があることもあり初期では風邪と誤認されることもあります。

実際に、胸部聴診で喘鳴を認め、気管支喘息と診断され、6か月に渡り吸入ステロイドを含む治療を受けたが症状の改善は認められず、他院での検査の結果、気管支結核であった例なども見られ、長く加療されないことで気道の狭窄が進む場合もあり、また気管支結核は、結核菌を排菌しやすく、周囲への感染リスクも長期に渡ることになります。
喘息の方で気管支拡張剤の治療を受けていたがコントロール不良で、気管支結核を発症していたことが分かった例も見られていますが、気管支結核の治療を開始し、喘息症状は結核菌の排菌が判明したころから改善傾向を認め、吸入ステロイドを中止。排菌は消失したが、喘息症状が増悪し始めたたため吸入ステロイドを再開し、気管支結核は気管・気管支の瘢痕狭窄を残さず、気管支結核、喘息の治療を進め症状が改善した報告もなされています。

咳、喘鳴など喘息と似た症状も見られる気管支喘息ですが、咳が2~3週間以上続く場合、また喘息治療中でも症状改善が見られない場合は気管支結核、肺結核の可能性も視野に、受診、医師に相談できるのが望ましいでしょう。


出典・参照:気管支喘息として加療され診断が遅れた肺・気管支結核の一例 大石 景士、宇都宮 利彰、村田 順之、坂本 健次、大藤 貴、神徳 済、上岡 博
高用量吸入ステロイド治療中の喘息患者に発症した気管支結核の 1 例 鈴木 一彦、田中 裕士、藤嶋 卓哉、寺本 信、兼子 聡、西海 豊寛、鈴木 明宏、高橋 葉子、本間 裕敏、菅谷 文子、阿部 庄作 日呼吸会誌

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