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一緒に調理する食材にアレルゲンがどの程度移行するか?

2018.07.29

投稿者
クミタス

アレルゲンと他の食材を一緒に調理すると、アレルゲンが他の食材に付着、移行することがありますが、アレルゲンはどの程度検出されるのでしょうか?

えびタンパク質(トロポミオシン)の検出程度を調査した結果では(マルハニチロ社製のELISA検出法 甲殻類キットⅡ「マルハニチロ」を使用)
えびは、冷凍ブラックタイガーを流水で解凍し背わた、尾、殻を除去(以下解凍えび)

炒め物:
キャベツ100gと生えび3尾(30g)を一緒に炒めた場合の、キャベツからの検出量 2,000μg超/g
キャベツ100g とゆでえび5尾(30g)を一緒に炒めた場合の、キャベツからの検出量 796.9μg/g
⇒ 火が通っていないえびを加熱する過程での移行量がより多く、2,000ppm超にもなることがある(アレルギー表示に必要なレベルは10ppm)

スープあり麺料理:
キャベツ100gと生えび1尾(14g)とラーメン 115g を一緒にゆでた場合の、キャベツからの検出量 264.2μg/g、スープからの検出量 2000μg超/g
⇒ 加熱過程でのスープへの移行量が、別の具材への移行量より多く、2,000ppm超にもなることがある

茶碗蒸し:
市販の茶碗蒸しから、えびのみを除去した場合の検出量 2,000μg超/g
⇒ 市販の茶碗蒸しから具材のえびを抜いても、生地には十分な量(2,000ppm超)のトロポミオシンが移行していることが伺えます。

揚げ物:
素揚げの場合
揚げ油(大豆油、菜種油混合)250gを熱し、角切りしたさつまいも50gと、解凍えび4尾(50g)を素揚げし、揚げ油は濾過した場合の、さつまいもからの検出量 2,000μg超/g、揚げ油からの検出量741.3μg/g

天ぷらの場合:
揚げ油 500gを熱し、天ぷら粉と水を混合した衣用生地280gに解凍えび5尾を混ぜて揚げた後に、同じ衣用生地に輪切りしたさつまいも100gを入れて揚げ、揚げ油は濾過した場合の、天ぷらのさつまいもからの検出量 379.1μg/g、揚げ油からの検出量 は検出限界未満(検出されなかった)、天かすからの検出量  89.1μg/g
⇒ 天ぷらにおいては衣があることで、 えびのタンパク質漏出を防ぐ役割にもなり、素揚げと比べるとえびタンパク質(トロポミオシン)の油への移行量は低い。

サラダ:
キャベツ30gと生えび1尾(7g)を混ぜ合わせる場合、キャベツからの検出量157.9μg/g
キャベツ30gとゆでえび1尾(7g)を混ぜ合わせる、キャベツからの検出量148.9μg/g
⇒ 加熱調理しないメニューにおいても、生えび、またはゆでえびと混ぜ合わせることで150ppm前後検出されている。

焼魚:
生えびを触りその手で鮭58gを触った後、焼いた鮭からの検出量 28.8μg/g
⇒ 触った手指を介しての移行も、アレルギー表示が必要なレベルに達していた。

出典・参照:調理におけるアレルゲンの移行性の検証

ブラックタイガーのアレルゲンとしては、トロポミオシン以外に、アルギニンキナーゼ、ミオシン軽鎖、筋形質カルシウム結合タンパク(SCP)、トロポニンCが考えられています。
トロポミオシンは熱に強く、水溶性であり、煮料理においては一緒に調理する別の具材以上に汁、スープへの移行量が多くなる場合があることがあります。生じる蒸気を吸入することで、喘息や轟麻疹等のアレルギー症状を示す例も報告されていますので、ご留意ください。
また、揚げ物では素揚げにおいては、一緒に揚げる具材に吸着する可能性があり、魚を焼くなどえびを触った手で別の具材に触れ加熱調理した場合も、トロポミオシンを摂取してしまう恐れがあります。手洗い、調理の順番など留意できるのが望ましいでしょう。また他アレルゲンに関する調査もご紹介していきたいと思います。

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