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【2017.4.18更新】ハチミツと中毒、食中毒~ボツリヌス菌以外にも

2017.04.05

投稿者
クミタス

蜂蜜の中には中毒を起こす物質が含まれる場合があります。今回は、グラヤノトキシン、ツチン、ピロリジジンアルカロイド、ボツリヌストキシンについてお送りします。

グラヤノトキシン


トルコの黒海沿岸部やネパール高山地帯で、採取され摂取されるハチミツの中には、マッドハニーと呼ばれるハチミツがあります。地域では食べられることもあり販売が禁止されているわけではないマッドハニーですが、神経毒グラヤノトキシンが含まれ、摂取すると中毒を起こすことがあります。

グラヤノトキシン、グラヤノトキシン類似物質はレンゲツツジなどのシャクナゲ類の植物に含まれることがあり、日本では報告数は限られ、国内産のハチミツによる中毒例は知る限りでは散見されませんが、ハクサンシャクナゲの葉を煎じて飲んで、また海外で購入されたハチミツを1口食べて症状が出現した例などが見られています。症状としては、食後30分~1時間ほどで視覚異常、めまい、過剰発汗、脱力、血圧低下、心拍異常、また呼吸困難、吐気、嘔吐などの出現が報告されています。

舌に炭酸に似たピリピリとした刺激、苦味、渋みなどがあるとも言われていますので、旅行時、お土産品等で採取された蜂蜜等を口に含んで違和感を感じるようであれば、吐き出されるのが良いかもしれません。

出典・参考:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:シャクナゲ類
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082085.html

ツチン


ニュージーランドに自生するドクウツギ科の低木tutu(Coriaria arborea)由来の神経毒ツチンを含むハチミツによる中毒例は以前から発生しており、FSANZ(オーストラリア・ ニュージーランド食品基準機関)では2015年1月15 日付けでハチミツ中のツチン上限量を0.7mg/kgに引き下げています。tutuの樹液を食する虫のパッションバインホッパーの分泌物をハチが取り込むことによりハチミツにツチンが含まれるようになると見られていますが、ツチン配糖体を含むハチミツを摂取してヒトの体内で代謝されツチンが遊離する場合、ハチミツを摂取して取り込むことになるツチンの量はさらに多くなる可能性もあるとの示唆もあります。
中毒により嘔吐、精神錯乱、眩暈、興奮、無感覚状態、意識不明などの症状が出現する場合があり、ツチンは熱や加工に安定的で、長く乾燥した夏が続くとツチン濃度が高くなるとの意見もあります。
日本ではドクウツギの果実摂取による中毒例があります。

出典・参考:ニュージーランド産ハチミツに混入した神経毒:更なる成分の解明

ピロリジジンアルカロイド


植物が生成する毒素であり、約600種類程のピロリジジンアルカロイドが存在するとも言われています。ピロリジジンアルカロイドは肝毒性の懸念等があり、日本ではバターバー(西洋フキ)又はバターバーを含む製品の販売を行わないように、またシンフィツム(コンフリー)、ピロリジジンアルカロイドを含むと考えられている Heliotropium、Crotalaria、Senecioを飼料または飼料原料として意図的に使用しないよう指導しています。
ミツバチがピロリジジンアルカロイドを含む植物を蜜源とした場合、ハチミツに移行し、特に高濃度にピロリジジンアルカロイドを含む植物のみを蜜源とする場合、ハチミツ内のピロリジジンアルカロイド濃度も高くなります。
データの充足等によりリスク評価は変わる可能性はありますが、ハチミツ摂取に関しては一定量内であれば急性中毒リスクは低いと見られていますが、ハチミツにおいてピロリジジンアルカロイド濃度を低減させるうえでは、蜜源の異なるハチミツをブレンドすることが対策にもなり(EFSA)、長期での多食において懸念があるとの見解もあります(JECFA)。

ピロリジジンアルカロイドを含有する可能性がある食用植物種を含む科属(農林水産省による文献等調査)
キク科:アザミ属、ムサラキバレンギク属、ツワブキ属、サンシチソウ属、コウモリソウ属、ペリカリス属、フキ属
ムラサキ科:ボラゴ属、ハマベンケイソウ属、ヒレハリソウ属
ヒルガオ科:サツマイモ属

第 74 回コーデックス連絡協議会 ピロリジジンアルカロイド類
https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/07-12/dl/74th_document.pdf
食品安全に関するリスクプロファイルシート
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/pdf/160115_pa.pdf

バターバー(西洋フキ)を含む食品の摂取に関する注意喚起についての対応
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002293g.html
シンフィツム(いわゆるコンフリー)の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/dl/tp0618-2a.pdf

ボツリヌストキシン


ハチミツ中にボツリヌス菌が芽胞の状態で存在することがあり、ボツリヌス芽胞を含むハチミツを摂取後に腸管内で発芽、増殖し産生された毒素(ボツリヌストキシン)が腸から吸収されることで、乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
乳児ボツリヌス症は、6か月くらいまでの乳幼児におこりやすく、腸内細菌叢が未発達のうちは、ボツリヌス菌が定着しやすいため発症リスクが高くなると考えられています。

芽胞の状態においては熱耐性があります。加熱した国産ハチミツでも1歳未満の子供に蜂蜜を与えることは、乳児ボツリヌス症発症の恐れがありますので、食べさせないように避けてください。

ボツリヌス菌による中毒について
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2019

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