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きのこによる反応①

2016.11.02

投稿者
クミタス


きのこ胞子を吸引することにより慢性咳嗽(せき)、発熱、息切れ、喘息症状、過敏性肺炎を起こす場合があり、特に職業として室内できのこ栽培をおこなっている継続的にきのこ胞子に長期暴露する方に見られています。

タンパク質分解酵素を含むきのこ


きのこの可食部に含有するタンパク質分解酵素の活性が高いきのこがあり、特に高いのはマイタケであり、ほかにヒラタケ、シイタケ、ブナシメジ、エリンギ、エノキタケ、マッシュルーム等が挙げられます。

特にマイタケのタンパク質分解酵素はpH3や7でも活性しており、50~70℃で活発であり、80℃でも60%ほどの活性と、熱に強いため、茶わん蒸しの具にマイタケを使用すると固まりにくくなります。
またヒラタケにおいては鮮度低下の著しいものの方がタンパク質分解酵素の活性が高く、ブナシメジにおいては貯蔵期間延長とともにタンパク質分解酵素の活性が上昇するとの意見もあります。

きのこによる反応例


きのこによる反応としては、以下等において報告例があります。

■マツタケ
・属性:8歳女児
・既往歴:気管支喘息とアトピー性皮膚炎。CAP-RASTダニ6+,スギ3+,ネコ2+。
・家族歴:父に桃アレルギーと花粉症、姉にアトピー性皮膚炎。
マツタケづくし料理を摂取開始1時間後に、呼吸困難,嘔気・嘔吐、顔面と四肢の浮腫が出現、受診時に強い気道狭窄音が認められ、プリックテストでマツタケに陽性反応であった例。

・属性:18歳女性
・既往歴:毎年春に鼻炎症状の自覚はあるが受診経験なし
・家族歴:特になし
職場の宴会でマツタケご飯摂取した翌朝に残ったマツタケご飯をおにぎりにして摂取した20分後より咳、顔面浮腫が出現、1時間後に全身の蕁麻疹、意識低下を伴うアナフィラキシーに進展した例。

■シイタケ
しいたけ胞子を長期吸引し感作することでの慢性の咳、喘息症状誘発、肺炎例など。他の真菌やエンドトキシンによる影響可能性もあります。ブナシメジ、なめこ、エリンギなどでも同様の報告例があります。
参考:
酵素とアレルギー~職業性喘息
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1689
しいたけ皮膚炎とは?
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/1460

■ヒラタケ
喘息の既往のある17歳女性において摂取後10分以内にのどのかゆみ、呼吸困難、蕁麻疹出現例。

■スエヒロタケ
アレルギー性気管支肺真菌症。アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎。別途「きのこによる反応②」で取り上げます。

■エノキタケ
・属性:17歳女性
・摂取歴:エノキタケの除去経験はなく摂取していた
・既往歴:食物アレルギーの既往なし
・家族歴:父、兄にアレルギー性鼻炎の症状あり、食物アレルギーの家族歴はなし
・住環境:ペット飼育歴なし.自宅周囲にエノキタケ栽培農家はなし
摂取して1時間後に目、耳の痒み、眼瞼腫脹、全身蕁麻疹,喘鳴、呼吸苦があり、皮膚プリックテスト(PPT)においては、エノキタケ、そしてエリンギに陽性を示し、アレルゲン同定のために食物経口負荷試験をおこなったところ、増量過程で摂取5分後から軽度の鼻水、咳、摂取25分後から呼吸苦,喘鳴,経皮酸素飽和度の低下(SpO2 90%(room air))、血圧低下(8650mmHg)、膨疹。アドレナリン筋注を施行し改善した摂取1時間後に再度呼吸苦、喘鳴が出現し膨疹の悪化、再びアドレナリン筋注、ステロイド、抗ヒスタミン薬静注、輸液を行い摂取4時間後に症状はほぼ軽快。
皮膚プリックテストで同じく陽性であったエリンギを経口摂取してアレルギー反応を示すか、については患者さん本人がエリンギでの食物経口負荷試験を希望されなかったため不明。

本報告では、エノキタケのアレルゲンとして18kDa,39kDa,50kDaのサイズのタンパク質に可能性があると示唆しています。
きのこによるアレルギーにおいては、アレルゲンがまだ明らかになっていない面がありますが、今後も様々な種類のきのこによるアレルギー反応、過敏反応に関する報告についてお送りしたいと思います。

出典:エノキタケ(Flammulina velutipes)経口摂取によるアナフィラキシーの 1 例
マツタケによるアナフィラキシーの1例 ほか

続編はこちら

きのこによる反応例から~キクラゲ、エノキタケ
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3316

きのこによる反応例から②
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4263

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