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吐物付着後にアナフィラキシーを生じたケース

2021.10.14

投稿者
クミタス

経皮感作や皮膚炎症部から食物抗原を吸収し症状出現したと考えられる例については、今までも掲載しておりますが、
鶏卵抗原に経皮感作し卵アレルギーを発症した例から
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3345
魚、貝、甲殻類と接触し皮膚症状などが出現する場合
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3374
吐物が付着した後、アレルギー症状が出現したと考えられるケースについてお送りしたいと思います。

4歳男児。アトピー性皮膚炎と牛乳に対するアナフィラキシーの既往歴があり、通院歴があったが、3年前から通院を自己中断しており、牛乳は完全除去していた。
走行中の車内にて、牛乳を主原料とするアイスを摂取した兄が車の運転に酔い、前方座席に座っていた患児の背部に多量に嘔吐した。その20 分後に家族が気づいて着替えを行った。吐物付着から60 分後、背部を中心に膨疹、紅斑が出現したため、オロパタジン塩酸塩2.5 mgを内服したが、強い腹痛も出現したため救急要請し救急隊接触後に3 回嘔吐、ドクターカーでアドレナリンを筋注され当院に搬送された。搬送時、体幹、両上腕を中心に紅斑と癒合した膨疹を複数認めたが、他臓器症状は認めなかった。アナフィラキシーの診断で経過観察入院とし、翌日には皮膚症状も改善したため退院した。退院後の血液検査では、総IgE 487 IU/mL、特異的IgE抗体価:牛乳188.0 UA/mL、カゼイン225.0 UA/mL だった(出典・参照:宇根岡慧 山口祐樹 尾崎理史 秋はるか 堀野智史 三浦克志 宮城県立こども病院アレルギー科 JCHO仙台病院小児科 同胞の吐物への経皮的曝露によりアナフィラキシーに至った牛乳アレルギーの1 例)

上記の4歳男児においては、アトピー性皮膚炎はコントロールされていない状態で全身に湿疹が認められていたとあり、皮膚から乳アレルゲンが入りやすい状態となっていた可能性が示唆されています。アトピー性皮膚炎を併発している重症食物アレルギー患者さんにおいては、原因アレルゲンの経皮的曝露のみでもアナフィラキシーに進展する可能性があり、普段からのアトピー性皮膚炎のコントロール、また縫い目やチクチクするなど物理的刺激が少ない衣類の着用含め、皮膚を掻く頻度を減らすなどもできるのが望ましいところでもあります。また本人以外の方の吐物に接触し、吐物中のアレルゲンに反応し症状出現する場合があることを踏まえ、皮膚炎症を生じている食物アレルギーの方は家族内でも吐物にできるだけ接触しないようにする対策(使用しやすいエチケット袋の用意含む)などもとれると良いかもしれません。

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