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食品に使用されるパラベン(パラオキシ安息香酸)について

2015.06.16

投稿者
クミタス

パラベンといえば、化粧品に使用される防腐剤としても知られていますが、パラベンは接触性皮膚炎の1つの要因にもなり、パッチテスト可能な物質でもあります(病院に依ります)。
少量で強力な抗菌性があることが特徴で、パラベンは医薬品、そして食品にも使用されています。

日本で食品に使用される際は、保存料(パラオキシ安息香酸)と表記されることが多いのですが、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ベンジルの5つのいずれかを指しており、これらは指定添加物として、各添加物の使用基準及び保存基準で使用されています。

パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルは昭和23年に、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピルは昭和38年に食品添加物として指定。
パラオキシ安息香酸エステル類の使用基準は、しょうゆ(パラオキシ安息香酸として0.25g/L)、果実ソース(パラオキシ安息香酸として0.20g/L)、酢(パラオキシ安息香酸として0.10g/L)、清涼飲料水及びシロップ(パラオキシ安息香酸として0.10g/L)、果実及び果菜の表皮(パラオキシ安息香酸として0.012g/L)。
食品においてはこれら以外への使用はできないことになっています。

パラベンを経口摂取すると肝臓で速やかに代謝され体外に排出されるため、特筆すべき健康被害はない、とする国内での意見もありますが、国内でリスク評価が特になされているわけではありません。

安全性について(海外でのリスク評価)


各国の添加物規格に関する専門家及び毒性学者からなるJECFAでは、食品添加物の安全性評価をおこなっており、ADI(人が一生涯にわたって毎日摂取しても全く影響がない量)を決定しています。
ADIとは摂取量の上限値を定めることになりますが、安全性の低い食品添加物についてはADIの設定には至りません。
日本はこのADIに安全係数をかけ、日本人の各食品の摂取量などを考慮した上で、使用対象や最大使用量を定めています。

JECFAでは、以前からパラオキシ安息香酸の中で、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロビルについては、比較的安全性が高いものとしてADIグループとしていましたが、低用量のパラオキシ安息香酸プロピルでも、げっ歯類の雄の生殖系への影響が見られることがわかり、弱いエストロゲン(卵胞ホルモン)作用があるとのいくつかの報告から、2006年のJECFA会合にて、パラオキシ安息香酸プロピルはADIグループから外すとする結論に至っています。

内分泌撹乱作用および生殖への影響は、以下順で高いとの見解があります。
メチル<エチル<プロピル<ブチル<イソプロピル<イソブチル<ベンジル

安全性評価においては、ヒトの健康にどの程度影響するかは、はっきりしていないとするものの、EUにおいては、2006年にパラオキシ安息香酸プロピルの使用許可を取消し、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルおよびこれらのナトリウム塩の使用を許可しています
またアメリカでは、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ヘプチル、パラオキシ安息香酸メチルの使用を許可しています。

日本での使用状況


日本国内でのパラオキシ安息香酸エステル類の需要量は6トン/年程度との示唆(2005年)があります。保存料(酸化防止剤含む)の使用総量は107,000トン(2011年)とありますので、量自体は多いわけではありません(数値は食品化学新聞による)。

クミタスの姉妹サービス「アレルギーチェッカー」に登録している商品のうち食品約68,500点のうち、原材料一括表示の欄にパラオキシ安息香酸を表記している商品としては、10商品を確認しました。
そのうち幼少時の消費が多いと思われるチューベット(いわゆるチューチュー、ポッキンアイス)2商品に、パラオキシ安息香酸を含むものがあった点が気になるところです。

しょうゆの保存料はエチルアルコールに切り替わっているものが多い中で、北陸・九州のしょうゆの中にはパラオキシ安息香酸エステル類を以前から引き続き使用されているものがあるとの意見があり、実際に6商品のしょうゆ、焼肉のたれ、ソースの原材料一括表示に保存料(パラオキシ安息香酸)の表記がありました。
尚、しょうゆに使用できるのは「安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル及びパラオキシ安息香酸ブチルのうち3種以下」とされています。

また、マーケットバスケット方式による調査では、パラオキシ安息香酸エステル類はブチル、イソプロピル、イソブチルの順で食品からの検出量が多く、プロピル、エチルは検出されないという結果が多い(食品添加物研究会編「あなたが食べている食品添加物」日本食品添加物協会(2001)など)との示唆があります。

原材料一括表示上では、どのパラオキシ安息香酸エステルなのかを把握ができないのが 日本の現行ルールですが、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチルは、EUでは使用許可をしていないものであり、アメリカでも食品添加物として使用されていません。

使用される商品数、使用量としては多くはなく、摂取量も限られるとはいえ、国内ではキャリーオーバーとしてソース、漬物、惣菜等から検出された例があるとの示唆もあり、パラオキシ安息香酸が使用している商品か表示上わからないものもあります。

食品に関して言えば、パラオキシ安息香酸を使用している商品から察すると従来からの製造方法のまま使用されているケースが多いようにも感じられますが、日本の食品添加物のルールにおいても、海外基準に合わせたアップデートや、パラオキシ安息香酸エステルでないと成立しないのか、使用する必要がある場合においても、比較的安全性が許容されるものを使用するように変わっていくことも必要かもしれません。

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