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小児における食物アレルギーへの対処③

2015.05.25

投稿者
吉原重美 医師

小児における食物アレルギーへの対処について、3回目の今回は、対処療法、皮膚コントロールについてお送りします。

獨協医科大学病院 小児科 吉原重美先生

【略歴】2004年 8月〜獨協医科大学とちぎ子ども医療センターアレルギー・呼吸器疾患部門長(兼任)、2007年 4月〜獨協医科大学医学部小児科学准教授
日本アレルギー学会:専門医、指導医。*喘息予防・管理ガイドライン作成委員
日本小児アレルギー学会:理事、評議員。*小児喘息治療・管理ガイドライン作成委員
日本小児呼吸器学会:運営委員。*小児の咳嗽診療ガイドライン作成委員長(2014年4月発刊)、日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会:理事、食物アレルギー研究会:世話人 など

食物アレルギー発症時における対処

 
最近では、食物アレルギー症状を緩和するために使用する第二世代の抗ヒスタミン薬に、6か月の乳児から使用できるドライシロップやシロップ製剤もあり、保険適応になっています。抗ヒスタミン薬の中でもけいれん誘発しにくいものを選択したり、胃腸症状が強く薬が飲めない場合は点滴で投与をすることもあります。
喘息症状が出現する場合は気管支拡張薬(β2刺激薬)やプレドニゾロン散、アナフィラキシー症状があった場合は体重15㎏以上であればエピペンを、皮膚のかゆみを抑える際にはレスタミンコーワ軟膏なども使用したり、アレルギー症状に応じて対症療法のパターンが複数あります。

肌からの食物アレルゲンの吸収を抑える

 
食物アレルギーにおいては、皮膚のコントロールの重要性も言われています。乳児湿疹は多くの乳児にみられますが、ほっぺたの皮膚に湿疹があるということは、皮膚に傷が付いた状態であり、その皮膚から離乳食の卵かすなど食品成分が侵入して感作が進み、その食品を食べた際に症状が出ることがありますので、食物アレルギーの症状誘発やその後のアレルギーマーチ、アレルギーを進行させないためには、特に顔の皮膚の湿疹、乾燥、アトピー性皮膚炎への対策は非常に重要です。

乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の違い

 
1歳未満の子で2ヵ月以上続く慢性の湿疹の場合、他の疾患を除外出来れば、アトピー性皮膚炎と診断しています。大人の場合は6ヵ月以上続く慢性の湿疹の場合になるかと思います。
乳児湿疹、アトピー性皮膚炎とも使用する軟膏には共通するものがありますが、赤ちゃんに保湿剤を使ったケースと使わないケースでは、保湿剤を使った方が1年後のアトピー性皮膚炎になる率が減るとのデータも出ています。肌からアレルギー物質に感作しないように、保湿剤を使うことはアトピー性皮膚炎の予防上も有用と思います。
 
ただ、乾燥した肌に保湿剤を使用するのは良いですが、湿疹が出ているときに保湿剤を使用すると逆に悪化することがあります。
そして湿疹があるお子さんの皮膚は乾燥を合併することが多く、湿疹のある、また乾燥した皮膚では、アレルゲンを感作しやすくなりますので、2ヵ月以上続いた湿疹だからアトピー性皮膚炎かもしれない、と受診されるのではなく、湿疹がある場合は、早めに受診されるのが良いと思います。

食物アレルギー以外が原因のじんましん

 
3歳以降でじんましんが初めて出た際に、原因が食物アレルギーだと思われるお母さんもいらっしゃいます。
食事後1、2時間以内に確実に何らかの症状が出た場合には、食物アレルギーを疑いますが、お風呂上りや汗をかいた後、寒暖差で出る特発性蕁麻疹の場合があり、特発性蕁麻疹は食物アレルギーによるじんましんとは異なります。
ヒスタミンを多く含む食品による偽アレルギーの場合もじんましんは出ます。さばはヒスタミンを多く含む食品ですが、さばにアレルギー症状のある場合との区別は、特殊な検査ですが、血液中のトリプターゼ値を見てみるとわかります。

予防と対処

 
食物アレルギーは発症して初めて食物アレルギーであるということになります。アレルゲンに感作をしていても症状が出るとは限りませんし、発症してからの対処は必要ですが、感作している人の発症予防や、感作しないようにするということがどこまで現実的か、は解明されていない部分もあります。
食物アレルギーは、症状が出てから正しく対処していれば、必要以上に怖がらなくても良いかと思います。今後、アレルゲンコンポーネントがほかにも明らかになり、アレルギー診療がさらに進展することに期待しています。

団体名 獨協医科大学病院
住所 栃木県下都賀郡壬生町北小林880
連絡先 0282-86-1111(代表)
特徴 小児アレルギー外来は、月曜~金曜の午前9時から11時、および午後1時から。医療連携協力施設はこちらにhttps://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/iryou/65.html

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