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小児における食物アレルギーへの対処②

2015.05.24

投稿者
吉原重美 医師

小児における食物アレルギーへの対処についての第2回目。今回は食物アレルギーについての判断、考え方についてお送りします。
 
獨協医科大学病院 小児科 吉原重美先生

【略歴】2004年 8月〜獨協医科大学とちぎ子ども医療センターアレルギー・呼吸器疾患部門長(兼任)、2007年 4月〜獨協医科大学医学部小児科学准教授
日本アレルギー学会:専門医、指導医。*喘息予防・管理ガイドライン作成委員
日本小児アレルギー学会:理事、評議員。*小児喘息治療・管理ガイドライン作成委員
日本小児呼吸器学会:運営委員。*小児の咳嗽診療ガイドライン作成委員長(2014年4月発刊)、日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会:理事、食物アレルギー研究会:世話人 など

食物アレルギーの既往と現病歴の違い


学校に食物アレルギーに関するお子さんの情報を提出されている方もいらっしゃると思いますが、その提出の際に、既往歴(過去に除去していた食物)と現病歴(現在も症状が出現し除去している食物)の区別があいまいになっているケースが少なからずあるように感じています。
既往歴とは、今までにかかったことのある病気のことで、現病歴は今治療中の病気についてのことであり、3歳位までは卵は食べられなかったけれど、小学校に入学する段階では生卵まで食べられている場合は既往歴になります。学校で、卵アレルギーがありましたか?と問われる際、卵アレルギーがあると答えると、現在食物アレルギーの症状があり除去が必要であると解釈されることがありますので、現在対応が必要なのかどうか、の観点で答えて頂くのが良いかと思います。

適切な判断とは

 
また、家庭では除去をしていないけれど、学校では心配なので除去をしている方もいらっしゃったり、心配なので除去対象を広げていってしまう方もいれば、家庭では除去メニュー対応をしているのに、園・学校では食べて症状が出ている方もいます。
 
小学校でのアレルギー対応は地域差もありますが、ある程度浸透している一方、保育園・幼稚園においては個々で差があり、特異的IgE抗体の血液検査(RAST)の結果のみで、除去対応有無を判断するケースもあるようですので、啓発が必要であると感じています。
 
またIgG4の血液検査では、アレルギー陽性判断をする検査としては、日本アレルギー学会も日本小児アレルギー学会でも推奨はしておらず、この血液検査での結果で除去判断をするのは適切ではないとの見解がなされています。

除去解除について

 
一度アナフィラキシーや重症な症状を経験すると、食べられるか食べられないか分からない状態で除去を続けている方や、しばらく食べさせなかったけれど家庭で食べさせてみたら大丈夫だった、間違えて食べてしまったけれど大丈夫だったという方もいらっしゃるかと思います。
ですが、たまたま大丈夫だっただけで、アナフィラキシーを再度起こす可能性もありますので、症状があった方は定期的に受診し定期的に負荷試験を受けることは大事なことです。
その過程で、プロバビリティカーブを参照のうえで、いつから除去解除できるかを負荷試験をしながら見ていくことは、食べられる状態の人が問題なく食べられるようになることや、現在の症状程度を把握することにつながります。

免疫療法について

 
免疫療法は食物負荷試験とは異なるもので、食物負荷試験が症状程度を把握し、まず除去のうえで食べられるようになってくる耐性化を見るものに対し、免疫療法は少しづつ摂取して食べられるようにしていく療法のことになります。免疫療法で少しづつ食べられるようにしていっても、耐性化ができているとは限らず、いったん2週間以上食べるのを止めた後に食べて症状が出ることもありますし、摂取量を増やせていたけれど突然アナフィラキシーを起こし摂取可能量が減ってしまったということもあります。耐性化できていない場合は、永遠に食べ続けるべきかの判断も必要になりますし、食べ続ける過程で好酸球性胃腸炎を発症する可能性や、副作用により先に進まない例もあります。
免疫療法は、積極的に体質を改善していく治療法と言えますが、研究段階のものであり、リスクもあることを踏まえ、しかるべき病院で相談されるのが良いかと思います。
現在、免疫療法は保険適応ではありませんが、食物負荷試験は9歳未満まで保険適応になっています。ただ、9歳を超えてからの口腔アレルギー症候群、食物依存性運動誘発アナフィラキシーのお子さんもいらっしゃいますので、小児においてもう少し保険適応の年齢が広がるようにしていければと思っています。

団体名 獨協医科大学病院
住所 栃木県下都賀郡壬生町北小林880
連絡先 0282-86-1111(代表)
特徴 小児アレルギー外来は、月曜~金曜の午前9時から11時、および午後1時から。医療連携協力施設はこちらにhttps://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/iryou/65.html

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