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非IgE依存性のアレルギー

2015.06.11

投稿者
クミタス

食物アレルギーの中でも、IgE抗体を介さないアレルギー反応があります。
新生児・乳児消化管アレルギーが該当し、主に新生児や乳児に発症する食物アレルギーで、原因物質は牛乳タンパクが大半を占め、他に大豆や米、小麦、魚なども要因になると言われています。
嘔吐、血便、下痢といった消化器症状を主とし、大半が摂取後24時間以内、一部は1時間以内に症状が出ますが、消化器症状がなく体重増加不良、活動性低下がある場合もあります。

特異的IgE抗体は主に陰性になる食物アレルギーですが、逆にこの点がIgE依存性反応の食物アレルギーと見分けるポイントにもなり、原因食物摂取後に消化器症状が出現し、当該食物除去により症状が消失し、食物負荷試験が陽性であることが、現在の段階では、非IgE依存性反応の食物アレルギーであることの要素とされています(ただし100%陰性とは限りません)。
またこの非IgE依存性食物アレルギーでは、便粘液細胞、消化管組織、末梢血の好酸球値が高い場合があります(末梢血で30%超の場合は消化管アレルギーを鑑別診断に挙げるべきとの意見もあります。ただ好酸球値は即時的に数値に現れないため、調子の悪い日が高値とは限りません)。

初めてのミルクで嘔吐、下痢、血便をし繰り返すことで発覚したり、乳児期にわかることが多く、IgE依存性の食物アレルギーと比較すると、1歳で7割、2歳で9割が耐性獲得し、予後良好な傾向にあると言われています。
ですが、約半数にアトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくが続発するとの見解があります。

新生児-乳児消化管アレルギー 診断治療指針 2014年1月7日改訂
https://nrichd.ncchd.go.jp/imal/FPIES/icho/pdf/fpies.pdf
 

成人の場合は


成人においても、特定の食物を摂取して下痢、嘔吐をし、その要因が食中毒や感染症、不耐症以外である場合、消化管アレルギーであることがあります(下痢の要因まとめについては、別途お送りします)。

原因物質として、牛乳、卵、大豆、そして豚、そば、魚類などの報告があります。
成人においても特異的IgE抗体が陰性であることが多く、原因物質の特定が難しい面があります。そのため、食事日記をつけることも大事になります。

乳幼児においても同様ですが、下痢、嘔吐があり、便粘液細胞、消化管組織、末梢血の好酸球値が高い場合、好酸球性胃腸炎の診断が成されます。
尚、好酸球性胃腸炎患者さんのうち、アレルギー疾患の有病率は46%程になるとの報告があります。

また、消化管アレルギーの場合、じんましんの出現はないとされていますが、IgE依存性食物アレルギーとの混合型もあり、その場合発疹があることがあります。またアトピー性皮膚炎を併発している場合は、アトピー性皮膚炎の発疹があります。

消化管アレルギーの概念や定義は最近確立されつつあるところで、今後変わってくる可能性もあります。
特に成人においては、患者さん本人が生活上耐えうる場合、受診していないケースもあるかと思います。症例が増えることで確立していく面もあるかと思いますので、繰り返し症状がある場合は、食事の記録とともに受診するのが良いかと思います。

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