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ココアパウダー、チョコレート摂食後の症状出現例

2023.11.21

投稿者
クミタス

カカオによるアレルギーの報告例は多くはありませんが、ココアパウダー、チョコレートの摂食による反応例の報告がありましたので、掲載したいと思います。
 
・ココアパウダーを使用したパウンドケーキの摂食後にアナフィラキシーを呈し、カカオ特異的IgE抗体値は陰性でしたが、ココアパウダーでの皮膚プリックテスト、好塩基球活性化試験は陽性であった例
カシューナッツとクルミで即時型反応を呈した既往のある3歳男児。カシューナッツ sIgE 1.96 IU/ml、クルミ sIgE 9.13 IU/mlで、近医よりカシューナッツとクルミの除去を指示されていた。
保育園で手作りしたココアパウンドケーキ(バンホーテンピュアココア、カカオ100%含有)を約3.5 cm×2cm摂取した75分後より喘鳴、呼吸苦、全身の発赤が出現し、救急搬送されアナフィラキシー(Grade 3)の診断でアドレナリン筋注し症状は改善した。
カカオ sIgE は<0.1 IU/ ml と陰性だったが、バンホーテンココアを用いた皮膚プリックテストでは16×10/25×20 mm と陽性反応あり、好塩基球活性化試験(BAT) でも陽性でカカオアレルギーと診断された。1-D immunoblotting では 10kDa、35 kDa、12kDa、18 -25kDa、40kDaに特異的な反応が得られ、カシューナッツ抽出液阻害により12kDa、40kDaの反応が消失したことから、カカオとカシューナッツの交差抗原の存在が示唆された。今後は 2-D immunoblotting による抗原の単離も予定している(出典・参照:谷川誠一 塩谷裕美 佐藤奈由 中村政志 小林孝輔 窪田祥平 只木弘美 国立病院機構横浜医療センター小児科 ホーユー株式会社総合研究所 済生会横浜市東部病院 カカオ特異的IgE抗体陰性のカカオによるアナフィラキシーの1例)。
 
・チョコレート製品摂取後に発疹を繰り返していて、カカオ特異的IgE抗体値、チョコレート・ココアの皮膚プリック-プリックテスト(SPT)も陰性でしたが、チョコレートでの食物経口負荷試験でアナフィラキシー症状を呈した例
アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息の既往のない4歳女児。1歳時、チョコレート1粒を初回摂取後に全身の発赤・膨疹が出現した。その後、チョコレート製品摂取後に発疹を繰り返したため除去していた。4歳当院初診時、チョコレート以外の食物アレルギーなし、カカオ特異的IgEは陰性で、チョコレート・ココアの皮膚プリック-プリックテスト(SPT)も陰性であった。
食物経口負荷試験(OFC)でチョコレート 2.5g、5gを40分間隔で摂取したところ、約15分後から発赤・膨疹が出現し全身に拡大、約75分後に大量嘔吐1回、血圧低下、活気低下が出現したため、アナフィラキシーと判断されアドレナリン筋肉注射が施行された。その後、症状は改善傾向となり約5時間後には軽快し、再燃も認めなかった。アドレナリン自己注射薬が処方され、チョコレートは除去継続とした。
チョコレート・ココアの蛋白抽出液と患児血清を用いたイムノブロット法、ELISA法、EXiLE法は陰性、チョコレートから分離したカカオマスとココアバターでの皮膚プリック-プリックテスト(SPT)も陰性であった(出典・参照:仲西大輔 川下尋子 酒井一徳 雨積涼子 比嘉千明 尾辻健太 近藤康人 沖縄協同病院小児科 藤田医科大学ばんたね病院小児科カカオ特異的 IgE 皮膚プリックテスト陰性であったが食物経口負荷試験でアナフィラキシー症状を呈したチョコレートアレルギーの1例)。
 
上記のチョコレート摂食後の症状出現報告内ではテオブロミン中毒の可能性は否定できない、との記述もなされていますが、アレルゲンについて、またカカオとカシューナッツの交差反応性などについても今後、追記したいと思います。

食物に含有する金属による反応~チョコレート、ココアなど
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2943

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