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イカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーのケース

2023.06.13

投稿者
クミタス

イカによるアレルギーの例については以下にて掲載しておりますが
イカによるアレルギー
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/2606
イカでの食物経口負荷試験
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4311  
イカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーのケースを掲載したいと思います。
 
29歳女性。17歳時にイカフライ摂取後運動した際に蕁麻疹が出現したことがあり、以降、魚介類摂取時に蕁麻疹が出現することがあった。29歳時、腰痛に対してロキソプロフェンを内服後、夕食にバーベキューをしてイカを含む魚介類を摂取した。食後約1時間後の散歩中に全身に膨疹が出現し、口唇腫脹、腹痛、嘔吐、呼吸困難が認められ、他院へ救急搬送された。
食物アレルギー精査目的で紹介受診となり、血液検査(Immuno CAP)は陰性、市販抗原液によるプリックテストは陰性、生と加熱したイカの prick-prick test は共に陽性であった。イカ単独摂取やアスピリン 0.5g とイカ 100g の組み合わせ負荷試験は陰性であったが、組み合わせ負荷試験でアスピリンを 1.5g まで増量したところ、全身に膨疹が誘発された。以上よりイカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された(出典・参照:アスピリン1.5gの組み合わせ負荷試験により診断し得た、イカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーの1例)。
 
16 歳男性。夕食時にヤリイカを含む寿司を摂取した約1時間後、歩行帰宅途中に眼瞼浮腫、全身に蕁麻疹が出現。前医を受診し,収縮期血圧低下を認めアナフィラキシーショックと診断され加療された。食物アレルギー精査目的で別院に紹介受診となり、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(fooddependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)が疑われ精査がおこなわれた。イカを含む数種の魚介類の特異的 IgE 抗体が陽性。Prick-prick test ではヤリイカのみ陽性となった。ヤリイカが原因食物として疑われ、入院下で運動負荷誘発試験を施行。運動とヤリイカの摂取のみでは症状誘発はされなかったが、アスピリン1.5 gを内服しヤリイカ50gの摂取と30 分間の運動との組み合わせで眼瞼浮腫を生じた。以上よりヤリイカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断された(出典・参照:アスピリンの組み合わせ負荷試験により診断し得たヤリイカによる食物依存性運動誘発アナフィラキシーの 1 例)。

食後から2時間内の運動負荷位より即時型症状がある場合、食物依存性運動誘発アナフィラキシーである可能性が考えられ、食物負荷試験と運動の組み合わせで症状出現しない場合にアスピリンは増強因子となり、アスピリンの量が増えるとともに症状が出現しやすくなることがあります。
イカを加工して調理した後に急性の蕁麻疹を生じた例などもありますが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーも含め、関与可能性のあるアレルゲンコンポーネントなどについてもまた追記していきたいと思います。
魚、貝、甲殻類と接触し皮膚症状などが出現する場合
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/3374

イカでの食物経口負荷試験
https://www.kumitasu.com/contents/hyoji/4311

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