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腸内細菌の話③~身近なビフィズス菌・乳酸菌について

2014.12.04

投稿者
クミタス

ヨーグルト、ヨーグルト飲料に含まれる善玉菌


前回、腸内細菌の話①~腸内細菌バランスを保つために で腸内細菌の概要についてお話しました。

今回はそれぞれの菌がどのように働くかを、各菌の研究や使用した商品メーカー等による訴求ポイント(各菌を同条件で比較検証された結果とは限りません)、また主に含まれる乳酸菌を商品ごとにご紹介します(各商品については、あくまで主として訴求されている含有菌を取り上げております)。

ビフィズス菌


●BB536(ビフィドバクテリウム・ロンガムBB536)
健康な乳児から発見された、ヒトに棲む種類のビフィズス菌です。酸や酸素に強い面があると言われており、花粉症の自覚症状が緩和されて症状と関連する血中マーカーも改善されたとのBB536使用のヨーグルト商品メーカーによる報告があります。

●ビフィドバクテリウム・ラクティスBB-12
酸に強いビフィズス菌で生きて腸まで届くと言われています。腸内環境改善、免疫力アップ作用が期待できます。

●ビフィドバクテリウム・ラクティスGCL2505株
ヒトから発見された、ヒトに棲む種類のビフィズス菌です。菌胃酸に負けない、おなかで増えるという点を使用メーカーは訴求しています。整腸作用が期待されています。


ラックビー、ビオフェルミン錠剤にもビフィズス菌は含まれています。

ビフィズス菌はビオチンを消費してしまうため、掌蹠膿疱症等の皮膚疾患を持つ人が摂り過ぎると皮膚炎が悪化する可能性が指摘されています(すべての菌株がそうであると断定しているわけではありません)。
 

乳酸菌


★は植物性乳酸菌になります。

●ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス・エフシー
クレモリス菌FC株
粘り気があるのが特徴で、この粘り成分(EPS)は免疫細胞を活性化して、サイトカインとよばれる生理活性物質の生成を誘導する作用があり、免疫細胞を活性化する作用が期待されています。
日本では商品名「カスピ海ヨーグルト」でも知られているメーカーによる、摂取により血液中のIgEレベルが下がったとの報告もあります。

★ラクトバチルス・プランタラムANP7-1株
石川県能登の伝統発酵食品である「アジのなれずし」から抽出された植物性乳酸菌です。免疫力向上効果が期待されています。

●ラクトバチルス・アシドフィルス CK92株
古来より世界各地で乳製品に利用されており、整腸作用があると言われています。

●ラクトバチルス・アシドフィルス・L-92株
免疫細胞のTh1細胞とTh2細胞のバランスがTh2細胞側に傾いているとアレルギー症状が出やすくなるといわれいますが、ラクトバチルス・アシドフィルス・L-92株はこの免疫細胞のTh1細胞とTh2細胞のバランスを正常なものに戻す働きが期待されています。
耐酸性が強く生きて腸にまで届きやすい面もあります。

※ラクトバチルス アシドフィルス菌は、ビオチンを消費しないため、皮膚疾患のある方には向いています。

●ラクトバチルス・パラカゼイ・KW3110株
ヨーロッパのチーズ由来の乳酸菌と言われています。免疫細胞のTh1細胞とTh2細胞のバランスを正常なものに戻す働きがあるとされており、花粉症やアレルギー、アトピー性皮膚炎症状改善に効果が期待されています。

★ラクトバチルス・パラカゼイ・K-2株
酒粕から分離された植物性乳酸菌で、花粉症やアレルギー、アトピー性皮膚炎症状改善に効果が期待されています。

★ラクトバチルス・ガゼイ・K-1株
お米から分離した植物性乳酸菌で、整腸作用とガンを引き起こす変異原物質を除去する、働きが期待されています。

●ラクトバチルス・ガゼイ・シロタ株
ヤクルト製品には幅広く含まれています。耐酸性が高く、アルカリ性にも強いということで、胃酸や胆汁にも負けずに腸に到達しやすい面もあります。
整腸作用があると言われています。

★ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス・コアギュランス(ラクトバチルス・ブレビス・KB290)
漬物の「すぐき」から発見されたと言われており、通称ラブレ菌でも知られている植物性乳酸菌です。
自身でも酢酸を産生し、耐酸性が強く腸に到達しやすい面もあります。
継続的な摂取によって、インフルエンザ罹患リスクを低減できる可能性について、使用メーカーより報告されています。

★ラクトバチルス・プランタラム
ザワークラウトから発見された植物性乳酸菌で、多く含まれる食品は酸味が特徴です。
ピクルス、キムチ、そしてぬか漬けにも含まれますが、ぬかの方に多く含まれます。
耐酸性が強く、腸に届きやすい面があります。
整腸作用、免疫力の向上作用、免疫細胞のバランス改善によるアレルギー症状の予防、緩和、軽減作用、そして大腸菌O-157の腸管付着を抑制する働きがあるとも言われています。 

★ラクトバチルス・サケHS-1
漬物から発見されたとされる植物性乳酸菌で、漬物のスターター菌としての商品が販売されています。
耐酸性が強く、腸に届きやすい面があります。

●LB81(ブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株)
「LB」は乳酸菌を意味するLactic Acid Bacteriaの頭文字で、「81」は使用菌株であるブルガリア菌2038株とサーモフィラス菌1131株の末尾番号を組み合わせたものになります。

●LGG(ラクトバチルス・ラムノーサス・GG)
体表に線毛(Pili)があることで腸表面に付着する能力があり、腸に長くとどまりやすい特徴があります。アトピー性皮膚炎の予防効果から下痢予防、インフルエンザ、風邪予防など、さまざまな研究成果が世界中で発表されている、世界で最も研究されている乳酸菌、との意見があります。

●LG21 ラクトバチルス・ガセリOLL2716
ピロリ菌の除菌、感染防御性があると言われています。

●R-1 ラクトバチルスブルガリクスOLL1073R-1
ブルガリア菌の一種で、免疫機能活性化多糖体「ESP」を産出します。このESPには免疫機能向上が期待されています。

★テトラジェノコッカス・ハロフイルス
耐塩性が強く、味噌に多く含まれる植物性乳酸菌です。味噌の発酵過程で生成される脂肪酸エチルはガンを引き起こす変異原物質の力を抑制する、という説があります。

★ペデイオコッカス・ペントサセウス
塩や酸、乾燥にも非常に強い植物性乳酸菌で、漬け物の発酵時に活発になり、キムチやピクルスなどにも含まれています。
自身でも酢酸を産生し、耐酸性が強く腸に到達しやすいとも言われており、腸内環境を整えます。

★ロイコノストック・メセンテロイデス菌
乳酸以外にも酢酸を産生するため、漬物の酸味をつくる働きがあります。腸内で増えることで酸性に傾いていくと、悪玉菌劣位になり整腸作用があると言われています。

●エンテロコッカス・フェカリス菌
腸内で酸素があっても無くても生きていける菌で、糞便から発見された菌です(「フェカリス=うんち」の原義でもあります)。
食品素材としてのエンテロコッカス・フェカリス菌は死菌ですが、消化管を通して免疫を活性化させる目的であれば、死菌でも細胞膜にその働きがあり、生菌である必要がないと言われています。
エンテロコッカス・フェカリス菌、とエンテロコッカス・フェシウム菌とともに生菌であると病原性を持ち得ており、全身に日和見感染をもたらす場合があります。

「ビオフェルミン」にはフェカリス菌が多く含まれています。

エンテロコッカス・フェカリス菌はビオチンを消費してしまうため、掌蹠膿疱症等の皮膚疾患を持つ人が摂り過ぎると皮膚炎が悪化する可能性が指摘されています(すべての菌株がそうであると断定しているわけではありません)。
 

植物性乳酸菌と動物性乳酸菌の違い


動物性乳酸菌は、乳糖をエサにしています。そのため含有商品化の際には、ヨーグルトなど乳製品に含まれる事が多いのですが、植物性乳酸菌は、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖など様々な多糖類をエサにすることができます。植物性乳酸菌は乳製品の中でも生きられ、植物性乳酸菌でもヨーグルトをつくることができます。

また、植物性乳酸菌は耐塩性が高く、微生物との共生もできる菌株が多く、動物性乳酸菌と比較すると元々菌の生命力が強い面があります。

そして植物性乳酸菌は、動物性乳酸菌と比較すると、胃酸にも強い傾向にあります。

 

運動と腸内細菌

ここでご紹介した以外にも様々な菌があり、研究段階で商品化前の乳酸菌もあります。また、商品には単菌ではなく複数菌が存在しているものがほとんどになります。個人の腸内環境によっても、適した菌には個人差がありますので、どの菌が自分に合っているのか試していくのがよいですね。

運動をすると腸内細菌の多様性が増す、との国立アイルランド大学による研究報告もあります。
腸内フローラが良い状態で保たれていると、消化管運動が正常に保たれ、消化管運動が正常に保たれていると腸内フローラが良い状態で保たれます。
消化管運動に刺激を与えるうえでも、長時間座ったままなど、運動量の少ない生活では、腸内の動きも停滞し、悪玉菌優位になってしまいます。
体を動かすことでも、腸の中も活性化していきましょう。

 

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